艦隊これくしょんのアニメが放映されてそろそろ一ヶ月ですね。
皆さん楽しんでますでしょうか?
愚問でしたね。なぜか昨今の美少女アニメにあるまじき骨太の作り。
お怒りの提督もいるのではないでしょうか。
愚問でしたね。なぜか昨今の美少女アニメにあるまじき骨太の作り。
お怒りの提督もいるのではないでしょうか。
しかし、せっかく生み出された作品を楽しめないのは勿体無い。
ここはひとつ、史実も知らず、ゲームも一切プレイしていない私なりのアニメ「艦隊これくしょん」の楽しみ方というものを伝授いたしましょう。
内容にがっつり触れていきますのでアニメ未視聴の方はご留意ください。
●二回見よう
いきなりですが、艦これは一話につき二回見るのがおすすめです。
というのも、艦これは全体的に描写がさらっとしていて、本当にさりげないので、近年の過剰なまでの描写に慣れていると大事なことを見落としかねないんですね。他のアニメと同じように漫然と見ていては非常に淡白な印象を受けることになるでしょう。
一度目の視聴でストーリーラインを把握し、その上で二度目の視聴で描写に注意を傾ける。結末がわかっていれば、さり気なく潜ませたヒントや伏線が見えやすくなるもの。一度目では見落としてしまっていた出来事に気づくことができるかも知れません。
まあそう言った理由ですので、各地で他人の感想を踏みまくって、ネタバレしてから見たり、一度見ればすっかり頭に入ってしまうような人は一回見れば十分です。
具体的な例を一つ挙げておきましょう。
話題になった例の三話で、赤城が吹雪に心構えを説くシーンがあります。
鋼の艤装は戦うために。高鳴る血潮は守るために。秘めた心は愛するために。
ありがとう。大好き。素敵。嬉しい。
大切な人への大切な気持ちを伝えることをためらわないで。
この言葉を聞き、吹雪は睦月と互いの関係を確認し合い、赤城への秘めていた憧れを明らかにしました。差し込む朝日が美しい、屈指の名シーン。
からの出撃、激戦、そしてアレ。ひでえ話だ。
はい。ひとまず、落ち着きましょう。ここで二回目です。
振り返ってみると赤城の語りの中にはいくつも死を思わせる言葉が含まれています。
中でもひときわ心に残るのは先に引用したセリフに続く次の言葉です。
明日、会えなくなるかも知れない私達だから。
いつ伝えられなくなるかも知れない身だから、伝えることを躊躇ってはいけない。
たった一艦隊で数十の深海棲艦に立ち向かい、完全勝利した伝説の艦娘たちの一人、赤城の教えです。
更に遡ってみると出撃を前にナーバスになる吹雪に夜目に効くブルーベリー、弾除けのお守りなどの実用的(?)なお見舞いの品が次々と差し入れられる中、利根から特盛りあんみつが振る舞われましたね。悔いの残らぬように食べていけと。
このことから、利根も赤城も一度出撃すれば無事に帰還できる保証などどこにもないのだということを理解していることが読み取れます。だからこそ経験が浅く、練度に劣る吹雪を心配している。
一方の吹雪にはその意識があまりありませんでした。吹雪が出撃前、しきりに気にしていたのは「足手まといになる」こと。沈んでしまうことではありません。しかも、これは初出撃から一貫して吹雪が懸念していることでした。責任感は強いですが、戦いに赴くものの覚悟としては不十分と言わざるを得ないでしょう。
それは睦月も同様です。睦月は出撃前の時点でたとえ簡単にでも思いを伝えておくべきでした。如月も自分も無事に帰ってこれるとは限らないのだから。
(TPOをわきまえた可能性も一瞬よぎりましたが、その後同じ第三水雷戦隊に所属する夕立には戦場で伝えました。特に気にしてないっぽい)
どうでしょう。二回見ることで、わかることもある。かも知れない。そんな風に思えてきたでしょうか?
まあ、二度と見たくないという意見もあるかと思いますので無理強いはしませんが、一度感情を落ち着けてから見なおしてみる。すると、もっと楽しんでいただけるのではないか。そんな風に思います。
●吹雪を愛でる
アニメ・艦これは吹雪の成長譚に重きを置かれて描写がされています。
吹雪は艦娘であるにも関わらず「運動が苦手」という致命的な弱点を抱えます。
それもかなり筋金入りで、初めての実戦ではまともに海面を走ることができず転倒を連発。まともに戦闘に参加できず、あわや轟沈という窮地に。
一方で、メンタルは非常に強く、幾度の失敗でも挫けずに前向きに頑張り続けます。川内型の三姉妹から課せられた厳しい特訓でもめげません。
結果、第一話ではまともにこなすこともできなかった戦闘も、第三話では睦月を狙う敵航空機の迎撃、敵空母への魚雷を命中させるなどの活躍を見せました。
吹雪は不屈の精神の持ち主であると同時に、リーダーの気質を垣間見せます。
例えば四話、如月の喪失を受け入れられない睦月は艦影を探して波止場に通っています。三話での轟沈から、劇中どれほどの時間が経っているのかは定かではないのですが、起きた吹雪が「今日も」と漏らす程度には続いている様子。
さらに、深刻なことに睦月は如月喪失以前の振る舞いを維持しています。駆逐級のメンバーは(島風を除き)轟沈によるダメージが抜けきっておらず、彼女の行動に如月の不在を強く意識させられるばかりで何も言えません。
そんな中、吹雪は睦月に如月の喪失を受け入れてもらいたいと考えています。皆の元気がないから間宮のところへ行こうと誘う時、遅くに部屋に戻り今後も如月の帰還を待ち続けると語った時の二回。睦月に声をかけようとします。
ただその時はどちらも、かけるべき言葉を見つけられませんでしたが……。
駆逐級の中では如月との付き合いが短かったこともあるのでしょうが、吹雪は如月の轟沈という悲劇を受け止め、前に進むことができています。
任務で出撃後の戦いぶりからもその様子は伺え、自身の役割を着実に果たします。その後、急くあまり前に出すぎる未熟さを見せますが、それも自身が強くあらねばならないという意識が悪い形で現れてしまったと見ることができるでしょう。
そんな吹雪を暖かく見守り、必要とあらば体を張って守る金剛の頼もしさ。
これで出撃前の奇行がなければなぁ……。
閑話休題。
金剛に抱きしめられ、睦月に伝えるべきことを理解した吹雪は傷ついた体を癒やすよりも先に波止場を訪れます。そして、睦月を強く抱きしめました。
この触れ合いで睦月もまた如月の喪失を受け止め、行き場を失っていた感情を爆発させます。これは完全な憶測になりますが……如月轟沈から初めて睦月が見せた涙なのだと思います。
翌朝、もはや日課のようになってしまっていた波止場通いをやめた睦月。挨拶を交わす二人の表情には冒頭のような陰りはありませんでした。
どうでしょう。この落ちこぼれと言っても差し支えなかった吹雪の成長ぶり。
この先、どんな出来事が待ち受けているのか、想像もつきません。過酷な出来事が、振りかかるやもしれません。それでも吹雪なら立ち向かい、乗り越えていってくれることでしょう。
今後も目が離せません。
「ここの鎮守府は大きいですね」という発言から他にも鎮守府があることは明らか。
吹雪の荷物にあるお守りやぬいぐるみ(金属音がしていたので貯金箱でしょうか?)から第一話以前、今の鎮守府を訪れる前の彼女がどこかで生活を営んでいたことは見て取れます。
出撃後の会話から、実戦の経験こそないものの、艤装を身につけての訓練は行っていたこと(そしてすっ転びまくっていたこと)も間違いないでしょう。
分からないことは吹雪のことばかりではありません。
如月喪失後の駆逐級の意気消沈ぶりから、彼女たちは轟沈から縁遠い生活を送ってきたように思われます。その一方で、先に出した赤城の覚悟や利根の配慮から轟沈に対して一家言持った艦娘たちが存在することもわかっています。特に利根は三話で帰還した睦月に如月のことを伝えていなかった神通に「そのほうが残酷なこともあるぞ」と指摘するなど、教官役という立場もあるとはいえ、割り切ったものの見方をしています。
この鎮守府が一体どんな歴史を持ち、所属する艦娘たちがどんな過去を持っているのか。明らかにされていない部分は決して少なくないのです。
そして、徹底的にぼかされている提督の存在。
実戦経験のない吹雪をいきなり出撃させるという判断もそうですが、作戦説明などはすべて秘書艦にまかせて席を外しているという態度も少々首をかしげざるをえません。
メタ的な話をしてしまうと、艦娘ではない存在、司令官という立場は重要な役割を担います。
仲間の喪失に沈む駆逐級を良き大人として叱咤することもできたでしょう。如月を「たかが駆逐艦一隻」と判ずる役目は同じ艦娘の長門ではなく、別の視点から物を見る必要のある司令官が背負うことができたはずです。
しかし、実際は自信を失った吹雪に前向きに頑張る気持ちを取り戻させた以外、一切、存在感を示していません。
作劇上、不利益の大きい提督をぼかすという書き方をあえてとった以上、何らかの理由があるとは思いたいのですが……。
これ以外にも、敵の目的や世界の情勢など不明瞭なことは数多くあります。
この先どこまで明らかにされるかはわかりませんが……待つのもまた楽しみの一つ、ではないでしょうか。
自己満足以外の何者でもありませんが、何かの因果でこのページに迷い込んだ諸兄が一人でもアニメ・艦これを楽しんでいただける一助になればと思います。
吹雪は不屈の精神の持ち主であると同時に、リーダーの気質を垣間見せます。
例えば四話、如月の喪失を受け入れられない睦月は艦影を探して波止場に通っています。三話での轟沈から、劇中どれほどの時間が経っているのかは定かではないのですが、起きた吹雪が「今日も」と漏らす程度には続いている様子。
さらに、深刻なことに睦月は如月喪失以前の振る舞いを維持しています。駆逐級のメンバーは(島風を除き)轟沈によるダメージが抜けきっておらず、彼女の行動に如月の不在を強く意識させられるばかりで何も言えません。
そんな中、吹雪は睦月に如月の喪失を受け入れてもらいたいと考えています。皆の元気がないから間宮のところへ行こうと誘う時、遅くに部屋に戻り今後も如月の帰還を待ち続けると語った時の二回。睦月に声をかけようとします。
ただその時はどちらも、かけるべき言葉を見つけられませんでしたが……。
駆逐級の中では如月との付き合いが短かったこともあるのでしょうが、吹雪は如月の轟沈という悲劇を受け止め、前に進むことができています。
任務で出撃後の戦いぶりからもその様子は伺え、自身の役割を着実に果たします。その後、急くあまり前に出すぎる未熟さを見せますが、それも自身が強くあらねばならないという意識が悪い形で現れてしまったと見ることができるでしょう。
そんな吹雪を暖かく見守り、必要とあらば体を張って守る金剛の頼もしさ。
これで出撃前の奇行がなければなぁ……。
閑話休題。
金剛に抱きしめられ、睦月に伝えるべきことを理解した吹雪は傷ついた体を癒やすよりも先に波止場を訪れます。そして、睦月を強く抱きしめました。
この触れ合いで睦月もまた如月の喪失を受け止め、行き場を失っていた感情を爆発させます。これは完全な憶測になりますが……如月轟沈から初めて睦月が見せた涙なのだと思います。
翌朝、もはや日課のようになってしまっていた波止場通いをやめた睦月。挨拶を交わす二人の表情には冒頭のような陰りはありませんでした。
どうでしょう。この落ちこぼれと言っても差し支えなかった吹雪の成長ぶり。
この先、どんな出来事が待ち受けているのか、想像もつきません。過酷な出来事が、振りかかるやもしれません。それでも吹雪なら立ち向かい、乗り越えていってくれることでしょう。
今後も目が離せません。
●艦娘はどこから来て、どこへ行くのか
アニメ艦隊これくしょんは現在、まだその全容を明らかにしていません。「ここの鎮守府は大きいですね」という発言から他にも鎮守府があることは明らか。
吹雪の荷物にあるお守りやぬいぐるみ(金属音がしていたので貯金箱でしょうか?)から第一話以前、今の鎮守府を訪れる前の彼女がどこかで生活を営んでいたことは見て取れます。
出撃後の会話から、実戦の経験こそないものの、艤装を身につけての訓練は行っていたこと(そしてすっ転びまくっていたこと)も間違いないでしょう。
分からないことは吹雪のことばかりではありません。
如月喪失後の駆逐級の意気消沈ぶりから、彼女たちは轟沈から縁遠い生活を送ってきたように思われます。その一方で、先に出した赤城の覚悟や利根の配慮から轟沈に対して一家言持った艦娘たちが存在することもわかっています。特に利根は三話で帰還した睦月に如月のことを伝えていなかった神通に「そのほうが残酷なこともあるぞ」と指摘するなど、教官役という立場もあるとはいえ、割り切ったものの見方をしています。
この鎮守府が一体どんな歴史を持ち、所属する艦娘たちがどんな過去を持っているのか。明らかにされていない部分は決して少なくないのです。
そして、徹底的にぼかされている提督の存在。
実戦経験のない吹雪をいきなり出撃させるという判断もそうですが、作戦説明などはすべて秘書艦にまかせて席を外しているという態度も少々首をかしげざるをえません。
メタ的な話をしてしまうと、艦娘ではない存在、司令官という立場は重要な役割を担います。
仲間の喪失に沈む駆逐級を良き大人として叱咤することもできたでしょう。如月を「たかが駆逐艦一隻」と判ずる役目は同じ艦娘の長門ではなく、別の視点から物を見る必要のある司令官が背負うことができたはずです。
しかし、実際は自信を失った吹雪に前向きに頑張る気持ちを取り戻させた以外、一切、存在感を示していません。
作劇上、不利益の大きい提督をぼかすという書き方をあえてとった以上、何らかの理由があるとは思いたいのですが……。
これ以外にも、敵の目的や世界の情勢など不明瞭なことは数多くあります。
この先どこまで明らかにされるかはわかりませんが……待つのもまた楽しみの一つ、ではないでしょうか。
●終わりに
さて、誰かの目に止まる保証もないのに、長々と書きました。自己満足以外の何者でもありませんが、何かの因果でこのページに迷い込んだ諸兄が一人でもアニメ・艦これを楽しんでいただける一助になればと思います。
最後になりましたが、DアニメストアはあのCMやめてください。何がいぇーだ。