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2015年10月26日月曜日

2015年夏アニメ私的総括

2015年アニメ私的総括もとうとう夏アニメに。
区切りのついたアニメが対象ということで、今時点で進行中のアニメ(アクエリオンロゴスとか)についてはここでは評価しませんので悪しからず。

●下ネタという概念が存在しない退屈な世界

はーい、開幕そうそういきなりひでえのから。
原作はライトノベル。存在自体は知っていたものの、未読。
タイトルを見たときはてっきり下ネタのない異世界にでも飛んでしまうものだと思っていたが、実際は法整備などで下ネタを強引に排除してしまった日本が舞台。
昨今の表現規制の問題を思うと笑ってばかりもいられないって感じですが、全編通してテイストはギャグなので身構える必要は皆無。

ベースは『下ネタは恥ずべきものではなく、もって世間に流布されるべき』という勢力と『現状の優良な風紀を維持すべし』と考える勢力の衝突だと思ってもらってよい。主人公は流布すべきという立場の人間なので様々な下ネタテロを仕掛ける立場だ。

誰もがいずれは直面する性的な情報を、子供の目から遠ざけるのは是か非かといった問題は現代でもそっくり通用しそうなものなのだが、基本的にはヒロインが隠語連発してピー音鳴らしてるので真面目な雰囲気にはならない。

というか、主人公が割りとマトモに見える以外は軒並み奇人変人ばかり。
生物や昆虫の生殖に並々ならぬ情熱を燃やす女に、女性用下着を身につけたゴリラみたいな男とか。
なかでも、風紀優良を掲げているにも関わらず、その知識の無さ故に股座から『愛の蜜(意味深)』を垂れ流しながら夜の町を徘徊しても何ら恥じることのなく、あまつさえ主人公に馬乗りになって励み始める生徒会長が頭ひとつ抜けている。
正直、頭にパンツ、裸マントで街中駆け回ってエロ写真ばら蒔いてたヒロインの華城綾女が可愛く見えるレベル。

……疑われそうなので念のため言っておきますが、俺は正気ですよ。
とにもかくにも、溢れんばかりのパッションとリビドーは感じられる作品なので、下ネタに抵抗がないなら一度見てみるといいだろう。何か大事なものを汚されたような気分になるはずだ。

●ワカコ酒

気を取り直して次。
原作はコミックゼノン連載のグルメ漫画。
OLワカコが酒とつまみを楽しむのを眺める五分アニメ。こういうの流行っているんだろうなってなるやつだ。
酒が飲めない俺でも(美味しそう……)とはなったので気になったら見ていいと思う。

●実は私は

元は少年チャンピオン連載の漫画。
なにかと態度、表情に出やすい『穴ザル(穴のあいたザルの意)』の少年と吸血鬼を筆頭に様々な秘密を抱えた女の子達のラブコメディ。

登場する女の子は皆個性的で可愛く、秘密や恋愛模様を巡ってのドタバタは見ていて楽しい。遅々として進まぬ恋の行方にやきもきしたりと見所は至って多い。

が、如何せん雰囲気が古い。ほとんど昭和のノリである。今は一周して新しく見えるのかしらといらない気を回してしまうレベル。
こればかりは、各個人の経験に依るところが大きいので、一度見て確かめてほしいとしか言いようがない。個人的にはオススメできる。

●モンスター娘のいる日常

吸血鬼の次はモンスター娘。言うほど対比になってないか。
コミックリュウ連載の漫画。元々は1ページ漫画だったとかなんとか。
ラミア(下半身が蛇のモンスター)やハーピー(半人半鳥のモンスター)というモンスター娘達が現代日本で生きていく姿をコメディタッチで描いた作品。

人間に最適化された社会では、人間離れした体躯による不便をどう解消するのか。そもそも変温動物だったりという特性などとどう折り合いをつけていくのかに四苦八苦。よしんば、うまく生活を送れるようになっても、今度は差別に苦しんだり、あるいは人間社会馴染めなかったりという姿が描写されていく。

と、書くと至って真面目に映るが、大体エッチな目にあったり、あわなかったりが多いので肩の力を抜いて見られる。
要はまあ、相手が人外になったラブコメの類なのでラブコメ、人外に抵抗がなければ問題なく視聴できるものと思われる。

●ビキニ・ウォリアーズ

ホビージャパンが展開するフィギュアシリーズを原作に持つ。と言っていいのかどうか。フィギュアキャラクター達が冒険する話。
その名の通り、扇情的なビキニを思わせる鎧を纏った女性があんなことやこんなことになったりする。まあ、そのなんだ。わかるだろ!
内容はあってない様なものな上、五分アニメなので、時間的にも気楽に見れるぞ。

●洲崎西

一応、見たが得るものはなかった。

●空戦魔導士候補生の教官

富士見ファンタジアのライトノベルが原作。
かつて空戦魔導士として名を馳せながら『裏切者』に落ちぶれた男が教官として、落ちこぼれ候補生たちを導くお話。

ファンタジア文庫らしい、あまり捻りすぎてない変化球といった所。ラッキースケベであったり、お色気であったりと角川アニメとして果たすべき義務は果たしている。

ストーリー自体は山も谷もやや起伏に欠ける印象がある。あくまで『教官』が主人公なので、教導により少女達が成長するだけで、主人公が華々しく活躍しないのがなんとも。
ただ、落ちこぼれだった候補生たちが遂にはその能力を開花させる訳で、それなりのカタルシスはある。かも?

内容も手放しで褒められたものではなく、何らかの理由から『裏切者』の汚名を背負っている主人公がなぜ憎まれているかはアニメでは触れられない
主人公はかつての仲間からの信頼されている上、時折ヘルプに入っている後方支援隊からは好意的に扱われている。それに、態度こそ砕けているものの教官としても着実に成果を積み上げていくなど、そうそう嫌われるような人物ではない。
にも関わらず、かつてチームを組んでいた後輩からは敵のように恨まれ、魔道士科長からは蛇蝎の如く疎まれている。それ相応の行いをしているはずなのだが……。敵である蟲に似た力を行使していたことが何か関係あるのだろうが、言及はされなかった。

また、このアニメも戦闘の迫力が怪しい。特にオープニングが相当不審で、明らかにプロローグの方が動きがよい。何故なのか……。

評するなら、見るに耐えないとまでは言わないものの、数あるアニメの中からこれを選ぶ理由に乏しいといった所。口が裂けてもオススメとは言わない。

●干物妹! うまるちゃん

原作はヤングジャンプ連載の漫画。他のヤングジャンプアニメがコケまくったことから、『ヤングジャンプ最後の牙城』と言われたとかなんとか。

外面はいいが、家のなかではぐうたら三昧の干物妹(ひもうと)土間うまるとその兄、タイヘイが織り成すハートフルな生活を見守るアニメ。
とにもかくにも「兄に全幅の信頼を寄せるが我が儘放題な妹、うまる」をどう受け取るかが非常に重要なアニメで、ここが受け入れられないならその時点でもうどうあってもダメ。
他にも擬音の書き文字が多いだとか、作者が頻出するだとか、デフォルメされたような干物妹姿のうまるが漫画上の表現だけではないような気配がある(本当に縮んでいるか、あるいはまるで違って見えていないと成立しない話がある)だとか引っ掛かりを覚えそうなポイントは多い。

その辺りを切り抜けられれば、うまるを始めとした愛嬌ある女の子達のほんわかした日常と、干物妹の自堕落ライフを堪能できるだろう。
うまるは成り行きもあって、いろいろな顔を使い分ける。考えようによっては人を騙して回っているのだが、根っこは心優しい女の子であるのでどこか憎めない。何より、できた友人たちのことが好きであることが伝わってくるので見ていて大変微笑ましい。

好みの別れるポイントの多いアニメではあるのだが、抵抗がない人には結構オススメできる作品と言える。

●オーバーロード

MMORPG『ユグドラシル』のサービス終了を切欠に異世界に飛ばされた青年が色々活躍する話。
原作は小説。色々紆余曲折があるようだが、そこら辺は割愛。

冒頭、サービス終了を前にゲームにログインして最後の瞬間を待つのだが、そこが本当に悲しい。かつてのギルドメンバー達は引退して戻って来ず、唯一の顔を見せたメンバーもデスマーチを思わせる悲惨な状況を理由に退出。残された青年モモンガは居城の奥で一人佇む。

……辛いよ。

異世界に飛ばされた後は、NPCだった配下たちを従えて活躍し始め、孤独に苛まれ続けるわけでもないのだが、問題に対処する中でかつてともにギルドを盛り上げてきたメンバー達への思いが過るのがどこか哀愁を誘う。

異世界に舞台が移ってからは一転、モモンガ改めアインズ様の活躍が続く。
中でも戦闘においてはゲーム内での強さがそっくりそのまま異世界で通用する上、世界全体のレベルが決して高くないため本当に圧倒的。にも関わらず、しっかり作戦を練ってから挑んでいくのでモモンガ様の痛快な暴れっぷりを思う存分楽しめる。
悪人の横暴に弱者が虐げられるシーンもあり、全編通して心穏やかとは言えないが、アインズ様がその悪を駆逐していく姿は補って余りあるだろう。

ファンタジー冒険活劇としては良い出来なので興味が湧いたなら見ておいて損はない。

●ゴッドイーター

原作はバンダイナムコの同名ゲーム。

世にも珍しい『非常に出来の良い、とても誉められたものではないアニメ』である。

ゲーム未プレイなので、原作付きアニメとしての出来までは言及できないのだが、映像作品としては非常に秀逸。
バックで流れるボーカル付き音楽を映像に合わせて微妙に調整するなどの偏執とも言える拘りは功を奏しており、大変見応えのあるアニメになっている。

ストーリーはアラガミという絶対的な脅威に蹂躙されながらもしぶとく生きる人間たちの生きざまを描く。アラガミによって荒らされ尽くした地上と、その僅かな安全地帯に寄り添って生きる人々。そして、そのなかで唯一アラガミに対抗出来る希望、神機。その神機を駆るゴッドイーターたちの責任の重さ。トーン自体はシリアスで暗い感じだ。

主人公がやや頑丈過ぎる(下手すれば敵のアラガミより硬い気がする)のが少し気になる所だが、最初未熟で無力だった彼が絶望的な状況でも屈せずに立ち続ける姿、成長していく姿は純粋に応援できる。

だが、これらを補ってあまりあるのが、放映の問題。途中、幾度となく特番を挟み、1クールを予定しながら実際は9話までしか放送できず、様々な謎や問題を残したまま終了。残りは今冬放送予定ときたものだ。
故にウチの基準に照らせば厳密にはまだ評価対象に入れるべきではないのだが、あまりにあんまりなので見て見ぬふりはしたくなかったため書いた。

完結してみないと全体の評価はまだ下せない所だが、非常に良くできた映像作品なので、是非とも目にしてほしいと思う。


以上、10本。
夏頃から生活リズムがかわり、アニメ視聴に余裕が出てきたので本数が増えている。あとは興味を引くものが多かったのも否めない。冬春は合わないアニメが多かった……。
また、覚えている間に文章を書くと筆のノリが違うなと思った。