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2025年1月11日土曜日

世の中、リュウぐらいなら知ってても格闘ゲームは知らないよね

虚木零児です。今、ガチギレしとる。

無職格闘-ニート・コンバット-

ええまあ、読み切り版がパッド操作かつ方向+ボタンで必殺技だったことを思えば、連載版ではレバー操作で方向入力がそれっぽい感じになっていることもあり、より格闘ゲームらしい方向へと進化させたとは言えるでしょう。

……698698とか言うパッと実例が思い浮かばないほど突飛なコマンドであることを除けばね。

いや、それにしたって真空――平たく言えば、方向キー入力(今回は698)を2セット――入力してまで出すモンがジャンピングアッパーは難易度対応どうなってんだ、みたいな話はあるんですよ。SNKが複雑なコマンド量産してたときでも、この長さだったらせめてゲージ技だろみたいな気持ちはあります。

……なんなんですかね。一昨年発表されたコイツの時もそうだったんですが、マンガ業界には「格闘ゲームを題材にする時は取材してはならない」みたいな縛りでもあるんですか?

◆まあ、システムはいいよ

言うて漫画の話ですし、実際に描きたいのはキャラクター達の躍動でしょうから、ゲーム描写についてはいちいち細かいところはいいです。そもそも、登場するのも今現在この世には存在しないゲームの話ではあるワケで、僕が知っているようなメジャー級タイトルとは違うルールや、違う常識が展開されているということもあるでしょう。ワイルドファイトでは8にレバー倒してもジャンプしないのかも知れません。

……いやまあ、コマンド理解を深化させる世界観でジャンプアッパー・飛翔天拳のラストが8入力なんで、上だろうなという気持ちはあるんですけど。そこは下衆の勘ぐりということでね目を瞑りましょうよ。

それに既存ゲームのコマンドなんていろんなゲームで使われて来て、誰の手垢がついているかわかったもんじゃありませんから、そういう意味では目新しいコマンドを採用することで思わぬ色が付くことは避けられます。それを言うと「動きを模したようにレバーを動かす」という発送自体がストIIの……あー、見えない。何も見えないなぁ!!

だから(中パンチを差し返す)って言った次のコマでB(弱のルビ付き)を連打してるのも、レバー側親指位置が(おそらく)Bなのに、Aはレバーから遠い薬指位置なんだ……とか色々あるんですが、まあそういうゲームなんでしょうねと。過去一度も見たことないけど。

いいじゃないですか! このマンガにおける格闘ゲームはいわばホーリーランドのボクシングの教本、自演乙なとってのホーリーランドな訳ですよ。話の本筋には関係ないんだから、細かいシステムの話はどうだっていいんですよ!! とか言って、僕はホーリーランド読んだことないですが。

それはそれとしてハードがおかしいのは別話だよね?

◆ボタン配置の話

もともと読切版では家庭用ゲームの話だった所為なのか、とにかくアケのコンパネが安定しません。実際の所、格闘ゲームのメインストリームが家庭用になって久しく、特に隆盛を誇るスト6では使っていいボタン数が増えたりで増設や移設が話題に上っており、ゲーセン時代とは随分と環境が変わってしまい、伝聞でしか知らないということもあるのかも知れません。普通、アケの筐体は増設とかあんまやんねんだわ。不特定多数と共有するモンだからね。

逆に言えばロケが変われば筐体が変わったりという話ではあるんですが、ありがたいことに主人公の拳護くん(の脳内に存在するであろうレオナルド)曰く、わざわざ自転車でこのゲーセンに入り浸ってるらしいのでそれは考えなくていいでしょう。あの店長がこまめにコンパネ改造してたら話は別ですが。

その上で4ページ目見ると、カプコンに多い六ボタンの右横(ページ上では画面側からの視点になるので向かって左側)にプラスで1ボタン。天板7ボタンは正直知らないんですが、強いて言うならビューリックスや、それを踏襲したPAPのスタートボタンが似たような位置にあるかなという感じ。図にするとこう。

▲図1.ワイルドファイトのコンパネ(4ページ版)

番号は便宜上振りました。既存ゲームだと7番ボタンはスタートとかの特殊ボタンが多く、あまり押さないので遠めに配置されます。でも、このゲーム描写的に使うっぽいんだよな。ちなみに過去、このボタンを使ってコンボするキャラクターがいなかった訳ではないです。有名どころだとタオカカとか。

さて、そこから進んだ21ページ目、突如現れるチープ寄りのアケコンのイメージ。ファイティングスティックの若干古い奴に似てる。

株式会社ホリ - ファイティングスティック For PS4/PS3/PC

上は完全に家庭用コントローラではあるので、ボタンは標準パッドをほぼほぼカバーできる8ボタン。右上の細々した部分が、ホームとかSHAREとかなのでしょう。

家庭用あるんなら家でやれよクソ無職という気持ちと先刻突っ込んだ中パンチ周りのネタがフルスピードでなだれ込んできた次のページ! なぜか六ボタンの左側(やはり画面側からの視点なので向かって右側)にある謎のボタン。図にするとこう。

▲図2.ワイルド(略)コンパネ(22ページVer)

なにこれ?

もしかすると、7-1-3-5でネオジオ配置を、1~6でカプコン系配列をカバーできる天才的なデザインなのかも知れない。7押しづらそ~

それが35ページ、36ページにいくと隠れていて見にくいながらも推察するに8ボタン配置。図にするとこう。

▲図3.ワ(略)ネ(35、36ページVer)

……まあ、今後も毎回アクションの度にアケコンでのコマンド入力を思い浮かべながら戦うマンガなんだとしたら、小道具の設定を一度固めたほうがいいんじゃないですかね。

◆そして、ボクは勘繰った

冒頭に書いた通り、作者の人、格闘ゲームについてそんなに知らないと思うんですよ。少なくともゲームセンターで遊んだことはあまりないでしょう。僕もゲーセンはさほど知らないんですが、それでも見てきた様態とあまりに違いすぎる。もしかすると、特定の格闘ゲームであればプレイするのは好きだし、何ならちょっと得意かも知れないけれど、それらの情報を体系立てて知識とできていないか、できていたとしても外部への出力、言語化がうまくなされていないように思います。

読み切り版に「弱Bコンボ」っていう単語が出てくるんですけど、一般的な格闘ゲームではまずまず出てこない単語なんですよ。

確かにスト6では「弱P」って表記が出てくるんですが、あれはパンチっていう大きな括りが更に弱中強って三分割されているという表記なんです。つまり、弱Bが出てくるためにはBっていう大きな括りに、最低でも強弱の区別がないと起き得ない。一応、スマブラのリュウ/ケンとかは「ボタン押下時間で技の強弱が変わる」性質だったはずなので、全くありえない話じゃないんですが、あれもそもそもボタンの数が限られているスマブラというゲームに元来強弱の区別があるものを実装するための工夫な訳で。最初からボタンのホールドで識別させようとするのに、短押し/長押しではなく、弱強で区別するかな? って言うね。

この感じで言うと、スマブラあたりは若干、スト6は多少、それ以外の格闘ゲームにはほとんど知識がない感じと考えられ、いわば格闘ゲームの最大公約数――格闘ゲームと言われた時に多くの人が薄ぼんやりと持っている印象――的な部分が欠如しているんだろうな……と思ってしまうんですよね。底意地の悪い言い方をすると「格闘の漫画を描くんだったら、今格闘ゲームに人気あるからそれにしようよ!」って誰かに言われて書いたんじゃねえの、って疑うレベル。

……まあ、実態はどうあれ、商業で初めてしまった物語は一定まともに畳まれるべきだというのが僕の理想ではあるので、このまま頑張って発展してほしいなとは思います。

正直、いうほどシナジーないと思うので苦労しそうですが。果たして