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2024年12月7日土曜日

人間の記憶なんて適当なものだよね

虚木零児です。

とりあえず、これを見てくれ。

正直に言えば、ケチの付け所はあるんですが、まあ、個人の趣味の範囲でやってることなんでね。まあ、いいじゃないですか。問題はこっちだよ。

ウソは良くないよねぇ……1994年にこんな技はないんだよなぁ……。

そもそもどんな技かといいますと

適当コイてると言われてもアレなので、少しだけ説明します。

ウルトラアルゼンチンバックブリーカー(以下、UAB)とはKOFシリーズに登場するクラーク・スティルのいわゆる超必殺技――スペシャルゲージなどが必要な上位技――であり、必殺技としてスーパーアルゼンチンバックブリーカー(以下、SAB)の強化版的な位置づけになります。

アルゼンチンバックブリーカー自体はアルゼンチン出身のアントニーノ・ロッカ選手が編み出したとされるストレッチ技であり、自分の肩の上に相手を仰向けに乗せ、顎と太ももを掴んでそのまま背中を反らせることでダメージを与えます。

バックブリーカー自体は相手の背骨にダメージを与えるタイプの技で、ただのバックブリーカーは立てた膝に相手を横たわらせて同様に反らせます。昨今はバックブリーカー・ドロップ、立膝に相手の背中を落として衝撃を与えるタイプの技も主流であり、格闘ゲームに限ればこちらのほうが有名かも知れない。

SABはいわばドロップ版のアルゼンチンバックブリーカーともいうべき技で、相手を上方に大きく投げ上げた後、原型技の姿勢で受け止めて背骨にダメージを与えます。担ぎ上げてじわじわとダメージを与えるのではなく、衝撃を加えてダメージを与えるってワケですね。冷静に考えると掛けた側も無事ではすまんだろという気がしないでもないですが、そこはまあゲームですのでね。

UABはそのさらなる発展系で、投げ上げ~受け止めを2~3回ほど連続で行い、最後にフィニッシュムーブにつなげるという技になっています。

言葉では想像つかない場合はこちらの動画をご参考ください。

癖になる見た目してる。

ちょっとした歴史の振り返り

「最後にフィニッシュムーブにつなげる」という曖昧な言い方をしたのはですね、シリーズによってモーションが違うんですよ。例えば、最初期に当たる94、95と新グラフィックリブート後のXIIは立膝に相手の肩を叩きつけるショルダーバスター(デスマウンテンバスター)でフィニッシュ。96からXI、XIII、それから多分XIVとXVの通常版はデスバレーボム、96から2002のMAX版はクラークスパーク(参考元はマッスルスパーク)、2003、XIのリーダー超必殺技ではクラークスペシャル(参考元はロビンスペシャル)、XIVとXVのMAX版は多分だけどもウルトラクラークバスター(参考元はドロップ版の逆タワーブリッジ)というバリエーションを誇ります。

ショルダーバスター、デスバレーボムは実際のプロレス技であり、特にデスバレーボムは女子レスラーの三田英津子さんが開発し、その後様々なレスラーが使うようになった由緒正しき技であります。相手をファイヤーマンズキャリーで担ぎ上げ、相手の頭がある方向に倒れ込んで叩きつけるという派手な技ですね。担ぎ上げるという点は同じですが、消防士が人を運ぶ際と同様に肩に触れるのは相手の腹側になります。マジレスすると、被災者を担ぎ上げるのに、ほとんど曲がらない背中側に反らせる意味まったくないですからね。

まあ、つまり、何が言いたいかといえば、クラークがデスバレーボムでフィニッシュする際はアルゼンチンバックブリーカーの体制からファイヤーマンズキャリーの状態に担ぎ直しが発生しているはずなんですよ。

そういうことを踏まえたうえで、最初の写真を見てほしい。食らってる側の体制がおかしいじゃないですか! それじゃあ、バーニングハンマーですよねぇ!?

まあ、それに輪をかけておかしいのが「94年当時にゲーセンで見たまんまや!(意訳)」であり、その頃のクラークのフィニッシュはデスバレーボムじゃないんですよねぇ!!

……だから何だと言われると特に何もないんですが。

昔の2D格闘ゲームって色々あったんですよ

ここからは、状況証拠に基づく僕の勘ぐりなんですけど、KOFがうつ伏せダウンを採用したのは96からなんですね。KOFのダウン周りは存外複雑で、タイトルとかで細かく調整されていたりするらしく、僕も詳細はわかりません。ここで重要なのはうつ伏せで倒れている画像が全キャラクターに標準で準備されたということにあります。

ということで、先程の動画を必要ならスロー再生して見直してみてほしいんですけど、96クラークの三回目のキャッチ後、相手はうつ伏せで担がれてるんですよ。前作まではこの演出ができなかったワケですね。うつ伏せダウンの実装決定と、デスバレーボムへの変更判断のどっちが先なのかは知りません。ただ「あ、うつ伏せダウンのモーションを組み合わせればデスバレーボムになるんじゃね!?」と思いついた人は大変素晴らしいと思います。

まあ、少なくともプレイしている人はそこまで気にしてる人は少ないし、後の世代で開発している人も若干持て余している疑いがあるんですがね……

例えばマキシマムインパクトシリーズは普通に仰向けで受け止めています。なのに、デスバレーボムとか言いながら倒れ込むときにはいつの間にか、相手の背中が外側に、仰向けに担いだ姿勢で倒れ込んでいるんですね。カメラアングルを大きく動かして誤魔化してるのがよくわかんないですよね。そもそも、クラークスパークの天の部分を画面外で処理してるんだし、別に前後逆に落ちてきても問題ないやろ。

なお、同じく3Dモデル使用のXIVとXVも三回目のキャッチが仰向けなのは同じですが、落とす前に微妙に持ち替えるにとどまっています。微妙になんか違う技にこんなのあった気がするけど、ギリギリデスバレーボム? か? まあ、デスバレーボムと言わないみたいなので、なにか思うところがあったのかも知れまえん。

個人的には2Dキャラで組技、投げ技を作るよりは3Dモデルの方がキャラクターを絡ませるのは楽なイメージがあるんですが、どうなんでしょうね。人気とかを考慮に入れなければ、天童凱はKOF初参戦当時のXIよりは楽に参戦できたりしないんでしょうか。ガイスパイダー的な意味で。

 参考資料:ネオジオ博士のXI強化講座 ~第一回 追加キャラ・ステージ

ガイスパイダー自体はスタンディングの相手にかける腕拉ぎなので、相手はやや前かがみかつ、腕をひねられた体制が必要。さらに、拉がれる方の腕は凱の脚の間にある必要があるため、描画順は「凱の奥側の足→食らう側の腕→凱の手前側の足」である必要があります。更に言えば、凱にのしかかられている側の頭は凱の手前側の足よりも更に手前にいる必要があり、更には相手の身体の一部は凱の奥側の足よりも更に奥になければ……面倒臭ぇなあ。

これじゃ、アンダーナイトインヴァースやカオスコードに天童凱がコラボ参戦する確率は限りなく低そうですね。誰も望んでないだろうからいいだろうけど。

例えば鉄拳のキングなんかは「キン肉バスター」参考にした技を使うんですけど、一方でポチョムキンバスターはあくまでアルゼンチンバックブリーカーの発展型的な扱いに収まっているわけです。冷静に考えれば、たかだかこの技のためだけに全キャラクターに特別なグラフィックを書くんですか? という話ですし、あんな体格の大男が細々ジャベるかと言われると微妙なところですから別に文句はありません。ただね、やっぱりグラフィック用意するんですか? で作られなかった技があるのなら、今このご時世に復活してほしい。

まあつまり何が言いたいのかといえば、せっかく3Dでキャラクター描画してるんだから、なんか珍妙な投げ技とか増えてほしいなあ、という話であり、例えば、相手を上空まで連れ去ってからジャベを決めていたマスクのルチャドールもそろそろ再登場という訳には行きませんかねというお話でございます。

ダメか。そうですか。

格闘技への理解ってどんなもんだろうね

昔、KOF2000でラモンが登場したとき、担当が「彼のスタイルはプロレスじゃなくて、ルチャ・リブレなので、そこは大事にしてください」という趣旨のことを言ったらしいことを読んで衝撃を受けたんですよ。そういうものなのか。

考えてみれば、3D格闘ツクールもサンプル流派で「プロレス」と「女子プロレス」、「フルコンタクト空手」と「琉球唐手」で別れてたんですよね。こんなもん、いきなり言われてもわかんねえよ。っていう。

あれから20数年が立ち、多少の違いがわかるようになって思うことは、制作陣は格闘技のこと好きそうだけど、プレイヤーはそこまでだよな。とは思うようになりました。

「スト6でザンギエフのプロレスはぐっと良くなった!」みたいな意見を出す人がいるんですけど、別にこれまでのザンギエフのスタイルが特段悪かった訳ではないんですよ。4のザンギエフなんかは本当に力付くで強引に引っこ抜くようなスタイルだったのが、トゥキックなどで上体を下げさせてから捕まえる――とかのアメリカンプロレスでよく見られる要素がよく見られるようになりました。特に観客へのアピールが挟まるようになったのが、WWEのEの要素が強く出てる部分ですよね。

スト6のエドもボクシングのウェイトが重くなったので、バイソン、ダッドリーに続くボクサーとなった訳ですが、腕力と突進力を活かしたハードパンチャーのバイソンと、クロスレンジでのラッシュと技巧派の立ち周りを得意とするダッドリーと比べると、フリッカーパンチとサイコパワーを組み合わせたアウトレンジボクサーとタイプが違うキャラクターに仕立てて来ましたよね。この先のキャラクター追加がどうなるかはわからないにしても「ボクサーばかり出すなよ」とは言えても「エドがいるからバイソン(もしくは、ダッドリー)はいらないでしょ」とはならない。

……実際は言うヤツいるだろうけどな。

例えば、SNKでもアンヘルのブルーマンデーパレードやブルマンデーカウンターのモーションなんかはロックボトムからのピープルズエルボーという流れをよく2Dゲームの表現に落とし込んだなとは思う訳です。あそこはカポエイラも出すの早かったですからね。

やっぱりゲーム会社側のノウハウや表現力も上がって、格闘技とゲームとをうまく組み合わせたキャラクターが生み出されるようになった今、現在のカプコンがルチャ・リブレという自由な戦いをどのように表現するのか? そこはまあ、最悪、コック続投じゃなくてもいいから、見たいよなあと言うのが、正直な思いな訳ではあります。

え、それもダメ。そうですか……