虚木零児です。
2024/10/16 画像を1枚追加しました
港町の一等地に「虚木商会」と銘打った旧市場を開店して月日が流れました。商店経営はずぶの素人で手探りながら店の成長を進め、隣接店舗を買い取って拡張も進めつつあり、少しずつでありながら成長を進めているといえるのではないでしょうか。
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▲虚木商会の有志 |
あ、旧市場シミュレーター(Old Market Simulator)の話です。
四人までのマルチプレイ対応。日本語対応済み。現在、10/18(金)まで割引中なので興味を持った方はぜひご購入ください。
当商会も従業員を募集しています。ただし、縁故採用のみ。
世はまさに小売店風アミューズメントの時代
2024年初頭に登場したスーパーマーケットシミュレーターの流行は、人々の心の中にあったある種の楽しみを刺激したのだと思います。什器を使ったディスプレイや店舗のレイアウト、サプライチェーン・ロジスティクスから切り離された在庫の管理、そして、それらを顧客が手に取り購買する様子を身近で見る、などなど。ゲームナイズによって現実的な問題がマスキングされた小売店経営はエンターテイメントになりうるということを人々の知らしめたのです。実際はこんなに楽しくはないんだろうなと心の何処かで思いつつも、バーチャルのマーケットを発展させるためにあくせく作業するのはなぜか楽しい。
……まあ、僕はあくまで旧市場の支配人であって、スーパーマーケットの店長ではない(スーパーマーケットシミュレーターのプレイヤーではない)んで、大きな口が立たける身分ではないんですが。
このゲームに限らず、僕達が普段しているような小売シミュレーターは数多くあり、僕が知る限りでもアパレルショップ、カードゲームショップなどがゲームとなっております。彼らがスーパーマーケットシミュレーターの後追いである――とは言いませんが、一人称視点での店舗管理が遊戯として成立するということの裏付けではあると思います。
この旧市場シミュレーターがあのゲームの影響を受けているかは全く存じ上げませんが、店舗に一昔前の什器を用意して、仕入れた商品を店内に陳列。顧客に売りさばくという小売店の伝統的なプロセスはパッと見、同じに見える……かも知れません。
しかしながら、プレイしてみれば全く異なる狙いと設計に基づき、古の市場をゲームに落とし込んだものであることがわかります。
旧時代を通じて衛生と保管の進歩を感じよ
こちらで遊んでいて感じる大きな違いは消費期限の存在と、仕入れのわずかなリードタイムです。この二つがあるゆえに、旧市場シミュレータは他ゲー以上に倉庫の重要性がより高くなっているからです。
スーパーマーケットシミュレーターは他人のプレイを見る限り、在庫の補充、仕入れは即時レベルで早いです。店で売り切れてから慌てて発注しても、ある程度はなんとかしてしまえる――というか、しているプレイ動画をいくつか見ました。おそらく近隣区画に潤沢な在庫とトラックを持った物流基地が存在していると推測されます。加盟している組合か、それとも卸売の業者なのか。とにかくそこのロジスティクスが超絶先進的なのは間違いありません。発注にリアルタイムで反応して、正確に商品出せとか無理が過ぎますからね。
その点、旧市場の時代は貿易船に取り寄せて持ち込んでもらう必要があるので、発注したその日のうちに……とはなりません。仕入れ品の入港は翌朝まで待つ必要があります。本日発注分をまとめて港まで持っていき、翌朝一番目の便でこちらに持ってきてくれている。という解釈で良いでしょう。現代と比べればまだ人道的……と言いたいところですが、発注を受けた港は深夜の間に出荷を完了させて、翌朝到着の船便に積み込んでいるので多少軽くても地獄には違いありません。ウチだけと取引してるんじゃなければ、いろんな商店からの発注を取りまとめて、それに対して必要な商品を割り当てて、適切な船に積み込むという作業をしているってワケです。こういう無理のあるタイムスケジュールを当然と思うから物流業界から人が離れるし、人手が不足するんですよ、皆さん。猛省してください。
冗談はさておき。このシステムだと、ゲーム的には売り場の棚から商品が消えた際の補充はどこかにストアしておく必要になります。近代的なイメージで言えば、バックヤードから商品を持ってきて棚に並べる作業にあたります。ところが、この時代のパッケージング、保管技術はまだまだ貧弱。衛生面も現代とは比べるべくもないので、野ざらしでの保管では長期間保ちません。足の早い食べ物なんかは仕入れた側から売りさばかないと腐ってしまうので、ただたくさん仕入れればいいというものではなく、さばけなかったものは廃棄になってしまいます。まあ、幸か不幸か近くには小銭払ってリサイクルしてくれる謎のおじさんがいるので丸損にはなりませんが、損失には違いありません。
これに対してゲーム側が用意した回答は地下保管室は冷暗で腐敗が進行しないです。これにより、大量に仕入れて保管しておき、必要に応じて棚に並べるという戦法が可能となります。また、店頭品切れの際にストレージから棚への補充を行えることで、顧客の不満発生の可能性を低減させることも可能になります。
上記以外にも畑などで生産するシステムも売りである以上、急に出現した大量の在庫を腐敗進行させずに保管する方法は必須という話はあります。生産したものの、顧客が少なくて捌ききれず、大半は廃棄みたいな話になると悲しすぎますからね。
このサイクルやデザインはいいと思います。実際問題、スーパーマーケットシミュレータでは「天然のストレージ」とか言いながら道端で保管している店長も見かけましたからね。後々の自動化を思えばシステムで用意したストレージを使ったほうが良いというだけで、それがなければ別に倉庫用意する必要ねえんじゃねえかという疑問はありました。
ただね、この冷暗保管室での在庫管理方法はどうにも気に入らねえんだ。
こんなのを倉庫とは言いたくねえ
冷暗所では店舗で使っているようなスタンドラックが使用できません。 一応、専用の保管所用の棚? は存在するんですが、商品置き場1段だけという無能ぶり。調整できる分だけ床置きより見た目がマシなだけで、保管効率は変わんねえか、最悪悪化だろうが。貴様ら、倉庫見たことないんか。
僕が見た時は大体のイメージに大小問わず、段数のあるラックが表示されていました。今みなさんの目に何が見えているかは知りませんが。
原則的に面積当たりの保管数を増やすためには高さの利用は欠かせません。1平米あたりに6箱置ける場合、その上に積み上げられれば12箱。段数が増えると18箱、24箱と倍々で増えていきます。現実の倉庫だと箱のサイズがバラバラで積み上げられなかったり、棚の利用効率が変わったりします。が、旧市場に出回っている木箱はある程度、規格化されているので保管効率はかなり追求が可能なはず。実際、店舗用のスタンドは大型箱が一部の棚に置けないことを除けば、大体がスペースを使いまわしが可能なワケです。客が見やすい様につけられている角度が効率を悪くしてはいますが、段で高さを使える分だけマシです。
だって、今用意されているのは目線よりやや低いぐらい所に物を置ける台が一段あるだけの代物ですからね。台の上ならマウス操作で位置の微調整ができるので、場所の調整やディスプレイ性は高いですが、保管物の上に別の保管物を積み上げることができない以上、保管効率は劣悪と言わざるを得ません。実際、同サイズの木箱は上からドロップすれば物理演算でも積み上がってはくれるので、床置きのほうが効率はなんぼかマシ。ドロップでやる以上、細かい場所調整などができないので一段だけだと面積あたりの利用効率が悪くなってしまうのですが、ある程度縦積みしてしまえば十分にお釣りが来ます。
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▲まあ、積んだ方が賢いよね |
まあ、ゲームは制作者の作品であるので、僕みたいなプレイヤーがなんと言おうと開発者の思うようにしていただければいいのですが、商品を陳列して客に開陳する必要のある店内よりも、保管だけしてればいい保管所のほうで面積当たりの保管効率が悪い什器を使わせているのがなぜなのかは一度見直してほしい。もし、深い理由がないのであれば、改めることを考慮してくれると大変助かります。
専用のラックがあったほうがこちらとしては楽ですが、難しいなら保管台の上なら商品をスタッキングできるようにしてくれてもいいです。その場合は吸着機能をつけてくれると嬉しいと思います。まあ、苦労して積み上げてこそのゲームでしょみたいな話もなくはないと思いますが、僕はそういう苦労はしたくないという話をしています。
それじゃ。また。