虚木零児です。
そろそろガンダムブレイカー4の発売日が近づいてきて、βテストなども行われるようになりましたね。とうとうPS5に移行せざるを得ない時が来たのかな、と僕も思っているわけです。
3の発売が2016/03/03ですから、八年近くの沈黙を破り4の発売ということでね……
は? 沈黙……?
とまあそういうワケで2018年に純粋な心を失った人間が、さっぱりとした気持ちで4を受け入れるための儀式をやっていこうかなと思います。わだかまりを吐き出して精神を落ち着けようとかそういう奴です。
シリーズの簡単な歴史
2013/03/14、ガンダムブレイカーが世に現れました。BETA版として。製品版の発売はその約3ヶ月後の2013/06/27。ガンダムではなくガンプラに着眼したというのは当時としては画期的で敵ガンプラを壊してパーツを集め、集めたパーツを組み合わせて自分だけのガンダムを作ろうというコンセプトで注目を集めました。……多分ね
ゲーム部分は当時から指摘されていた通り、若干荒削り。ナンバリングが進むにつれて洗練されていったこともあり、今から見ると若干うーんとはなります。
特にパーツの扱いは激渋で
- 敵を倒すとパーツランナーをドロップ
- ドロップしたランナーの回収は接触。残したランナーは消滅
- ランナーからパーツを組み立て。出来栄えランクで性能変化
- 集めたパーツを組み合わせて機体を作る
という構成になっていました。後のシリーズでは回収が不要に、出来栄えランク――通称、星――が廃止されてしまう、破壊して集める。集めたパーツで機体を作る。新しい機体で出撃する。という一連のサイクルの速度が段違い。初代は色々面倒だったんですよ。
出来栄えについては「模型戦士ガンプラビルダーズビギニングG」や「ビルドファイターズ」でも採用されてていた「精度高いパーツほど性能面で有利になる」アレですね。今になって考えてみれば「アニメにみすぼらしい機体が出てこないのは、そういう機体だと戦えないからだよ」という言い訳に過ぎず、製作工程にプレイヤーの技術介入がないガンダムブレイカーではただの運要素。なくなったのもやむ無しではあります。せめて一度組んだパーツでも磨き直せばランクが上がるとかだと話は別だったんですけど。加えてレアパーツが目当てとなるとドロップが渋くて……パーツだけでもという妥協勢の僕でも最後の方は苦行じみてると思ってました。
強いて言えば3でパーツにランダム付与のアビリティが出てきた関係上、厳選みたいな要素は出てくるんですが、アビリティ自体は他のパーツに移せるし、合成して補強できたりもするので1と比べるとだいぶ楽。
後はアクション周りも初代は甘くて、頭、胴体、両腕、両足、背中といろんな機体のパーツをくっつけられる関係上、特定の機体のパーツを使うと使えるようになるアクションという物がありました。レッドフレーム改は腰に下げた二刀流での斬りかかりだったり、背中の奴を大きな剣にして振り回す攻撃であったりと割と単発気味でした。どちらも2では手持ち武器の二刀流サーベルや大剣近似モーションで暴れられるようになっていた記憶があります。どっちが強いかは君自身の目で確かめてくれ! 個人的には楽しいのは2以降。
この結果、ステージに挑む→楽しく暴れまわる→パーツが集まる→新しいパーツでアクソンが解禁→ステージに挑みたくなる! みたいなループができていました。
それがNEWガンダムブレイカーではどうなったのかといいますとですね。
空白というか、暗黒というか
2018/06/21にNEWガンダムブレイカーは当時、ガンダムブレイカー最新作という触れ込みで登場しました。公称ジャンルとガンプラという題材は変更なかったものの、その実態は大きく変わり、エリアクリア型のPvEゲームからPvPゲームに。ナンバリングじゃなくて、NEWとつけられたのはその辺との兼ね合いです。
詳細は当時の僕がしたためた怨嗟のエントリを見てもらえると嬉しいですが、雑な説明としては直接的なバトルにあまり旨味がなく、レーンもなければ目標とかもランダムという緩やかMOBA風アクションゲームといった感じでしょうか。すいません、試合中にキャラビルドするようなゲームをMOBAしか知らないだけなんです……
もう一つの変更点がガンプラの構造。当時最先端の鉄血ガンプラよろしく、中にフレームがあって周囲にアーマーのようにパーツがつく形なので、3までのように腕が吹き飛んで武器が使えないとか、足がないから身動きが取れないみたいなのはなくなりました。そのうえで試合中に拾ったパーツを組み込めるようになり、望むならばその場でヴァサーゴ胴体に付け替えて「メガソニック砲じゃ!」ということも可能。
その代わりとばかりに、
- 一度に所持できるパーツは5個まで
- 拾得時点では自分の在庫にはならず、キューブ転送/試合終了時保持が必要
- パーツ固有動作はEXスキルのみ。オプション武装は廃止かつ、1パーツ1アクション
などの操作体系が大幅変更。結果、何が起きたかといえば「敵が落としたパーツは接触して回収」「所持限界があるのでこまめに戻って転送が必要」と収集の手順が過去例を見ないほどに煩雑に。さらには「外れた自分パーツを引き寄せるシステムが削除」「パーツ毎に耐久があり、なくなると外れやすくなる」ことで出撃時の姿が崩れやすいゲーム性。加えて「多目的複合兵装なども原則1機能しか使えない」や「パーツ供給源のMOBと敵チームを同時に相手しないと行けない」などなど、作った人は前作とか遊んだことあります? みたいなゲームに仕上がってしまいました。
特にパーツ周りは致命傷で前述の「難しいことを考えずに敵を倒して回れ」というゲームだったものが「パーツプールを増やしたいなら拾ったらセコセコ持ち帰れ」という作業になってしまい、前述の通り動きの幅が狭いので移動が単調になりがち、何より機動性が劣悪なのでこの往復がまたツマんねえ……っていう。
パーツを揃えていったところで待っているのは「ローゼン・ズールはインコムもサイコジャマーも使えない」とか「発動すると自滅確定の土星エンジン」などの再現意欲の薄い実装や「敵に向かって突進するがバグ(現在は修正済み)か覚醒以外で中断できない移動スキル」に「モーションと狙いが噛み合わなくて動く相手にはまず当たらないAGE2マグナムのFファンネル」などのガンダムゲーどころか、アクションゲーとしても下の下だろ。みたいなモノが出てくるんですけどね。
ホンマにひどい。
最初期の頃に僕がかろうじて遊べてたのは記事にもした通り、満載のバグを利用してハチャメチャな動きが可能であったからで、それが修正されてからは全く触ってません。追加機体に面白い奴がいたとして、コイツらの味付けじゃあなぁ……っていうね。はい。
ただ、はっきりと言っておくと、NEWガンダムブレイカーという呪物誕生の片鱗というか、傾向は割と早い段階から出てはいたんですよ。我々の側に自覚がなかっただけで、2だの3だのに出てくるPVは割と不穏ではあったんです。
このガンダムブレイカーというゲームについて話す上で避けられないものがあって、それがガンダムビルドファイターズから始まる一般的に言う「ビルドシリーズ」なんですよ。この二作品はどちらも同じガンプラを題材とし、組み上げたソレを戦わせるという類似点を持っており、登場時期も近かったことから常に比較の対象となってきました。
それがすべての間違いである。私はそう申し上げているのです。
我々はブレイカーだ
まず初めに言っておくことは、ガンダムブレイカーとビルドシリーズはさして似ておりません。これは僕自身、結構前から細々とですが言っていることです。ブレイカーはブレイカーであって、ビルドにはならないし、逆もまた然りであると。
ブレイカーはビルドの世界観がいいっていう話を見たけど、ビルドの世界観だとブレイカーにならないよね
— 虚木零児 (@utsurogi) November 30, 2014
しかし、残念ながらブレイカーはビルドシリーズの影が常につきまとってきました。
ガンダムブレイカーの恒例として、ガンダム出演声優たちが役を演じながらプロモーションをするビデオが存在します。今回のウリ、新要素などに並んでいつも「ファンから寄せられた声」として色んな言葉が流れてきました。ショップ店員、仕方ねえんだ、ジュアッグ腕、仕方ねえんだ。
ここで常にちらついていたのがビルドシリーズです。例えば「ビルドシリーズのようなストーリーが良い」だとか「ビルドシリーズのような戦いをやりたい」であったり「人が作ったガンプラ同士で戦いたい」といったものですね。そして、言い訳みたいにつけられる「ガチ対戦路線には進んでほしくない」の一言。
――ビルドシリーズはガチバトルなんですけど(強火厄介風に)
実のところ、無責任な声が集まっているというだけなら大した問題ではないのですが、残念なことにガンダムブレイカーはこれらの声に迎合して、ビルドのようにしよう。ビルドのようになろうと発展をしてしまったんですよね。
例えばストーリー。初代のストーリーは「お台場で開催されているガンダムイベントでお披露目された目玉ゲーム『ガンプラバトルシミュレーター』を他の参加者たちと協力して攻略していく」という簡素なもの。バトルシミュレーター内の戦いには特に説明はなく、謎のガンプラ軍団に立ち向かうプレイヤーたち(軍属か同盟者っぽい)が何を目的として争っているのかは定かではありませんでした。
でも、別にそれでも問題はありませんでした。ゲームで敵を倒し、パーツランナーを手に入れると実物のランナーが貰え、それを組み立ててゲームに読ませるとゲーム内で該当パーツが使用できるようになるので、重要なのは目当てのパーツ、それはつまり好きな機体であったり、攻略に有用そうな能力を持ったパーツを手に入れることであったからです。
我々は機体を作るためには壊す必要があったんですよ。だから、このゲームはガンダムブレイカーと名付けられた。僕はそう思います。
とはいえ。理由も目的もわからず、ただ黙々と戦い続けるというのも、それはそれで退屈なものです。やっぱり、ストーリーとかほしかったよねという声が上がるのは自然なことと言えるでしょう。僕もわかる。
それを受けて2では「イベントでのゲームプレイ」という部分はそのままに、ガンプラバトルシミュレータ内では今までにない架空の世界が舞台に変更。プレイヤーは地球連合軍の艦の乗組員となり、ガンプラを操りながら襲い来るコロニー連合軍との戦いに身を投じていくことになりました。結果、レーアやショウマ、カレヴィといった登場人物たちが攻略のサポートをしてくれることになり、他の参加者はリストラされました。やむなし。
個人的には自分で組んだガンプラが実際に戦場に立って戦う姿を見るというのはそれなりに面白い体験だったので、気に入っていました。無名の連合軍パイロットたちに見送られる形でマスドライバー? だっけに突撃するシーンは特に好きでした。機体が育ってるからアクション部分はクソヌルゲーになってるので、彼らと並んで浮かないレベルにするのが好きでしたね。あんまり強すぎる見た目だと、お前一人で行けや……ってなる。
が。納得しないファンも多かった。戦争なんて他のガンダムゲームでもできる。せっかくガンプラが題材なんだから、ガンプラらしい戦いの方がいい。ここで繰り返されたのが呪いの言葉となりました。
「ビルドファイターズのように」
……っかー、ビルドファイターズにはなれないのに。
言うほど似てないビルドとブレイカー
今にして思えば「なんだいなんだい、ガンプラでジオラマを作るように架空戦記を描くのは楽しみ方として間違っているとでも言うつもりかい?」ってなモンなんですが、当時はビルドファイターズシリーズの人気が今以上に高かったし、ガンプラバトルシミュレータは仕様上戦闘中の緊迫感が不足する弱点があって戦争モノには若干向いていないのもあって、ガンプラ競技のほうがよいという意見も一理ありました。
だって、戦闘中に手足が飛ばされても終わらないんですよ、ガンダムブレイカーは。
これはガンダムブレイカーのウリの一つでもあって、敵味方問わずガンプラなので手足頭などのジョイント部分が割と簡単に外れてしまい、パーツがポーンと飛び出すようにできています。すわ一大事――ではなくて、そこはガンプラなんでパチリと言うまで嵌め直せば簡単に治ってしまいますよ。という、仕様となっています。これによってガンプラの首や腕が外れた状態で耐久がゼロになって撃破される――みたいな展開が起こるんですが、ここがミソで敵ガンプラに対してそれを行うと、外れているパーツも本体みたいにパーツのドロップ判定が行われるようになっていました。何も外さずに倒すよりもパーツが入手できる確率が上がるし、多めに入手できる可能性もあります。パーツ外しにメリットがあるんですよ。音も気持ちいいし。
ただその分、手足がもげても即終了とはならない。確かにリアルな感じはないです。
さてさて、ビルドシリーズのようなモノがほしいという要望を受けた3がどうなったかといえば「商店街の再興を考える女の子、ミサちゃんに巻き込まれる形で業務用ゲームとして流通したガンプラバトルシミュレータを通じて優勝を目指す」というストーリーになりました。地域大会から最終的には世界大会にまで乗り込んでいく、ビルドファイターズ顔負けのサクセスストーリーとなっております。
こちら、考えようによっては1と2のいいとこ取りとなっており、1みたいに戦う目的が不明瞭ではなくなった上に、2と違って一緒にゲームを攻略する同じ立場の仲間がいるんですね。え、1の仲間はキャラクターが薄くて交流もなかった? ……そうでもあるが。
これにより、キャラクター同士の人間模様であったり、ライバルとの戦い、敗北・挫折からの復帰といった物語の幅が出てきて、より面白くなりました。まあ、戦争で死んだ人は普通帰ってこないですからね……仕方ねえんだ
これに加えてゲーム部分の出来も良好、動かしても作っても楽しいゲームとなったことで、ガンダムブレイカー3は大きな成功を収めたと言えると思います。僕も好きですよ、ガンダムブレイカー3のことは。1も2も好きです。
まあ、細かいこといえば、業務用ゲームとはいえ、ゲーム内で手に入れたガンプラパーツが実際に手に入る設定はどうなったんだ? みたいな話はあるんですが……
ただ、不穏な部分はもう既にあったんですよ。
例えばバウンティハンターモード。これは他のプレイヤーが作成したガンプラを相手にして戦うモードで倒すことでかけられた賞金が得られるというもの。以前からあったプレイヤーが作成したガンプラ同士で戦い、雌雄を決したいという願望に対する一つの答えとして作成されたものと考えられます。ちなみに、僕は面白いと思ってませんでした。
また、ストーリー面にも反映されており、ガンダムブレイカーにはモブ機体の他に、未確認機やエース機と言われる、少し性能が高くなった機体が登場することがありました。3からは未確認ではなく乱入機体と呼ばれるようになり、何やら雑多なパーツを組み合わせた混載機体に変更されてました。システム上は上級モブ機体なんだけど、ストーリー設定上はどこかの店で遊んでいるライバルなんですね。
この露骨な対戦アピール。からお出しされた、チーム同士で争うルールのゲームということで「そこまでして争わせたいのか、アンタたちは」という話でございます。
……いや、対戦したいって言ったのはファンなんですけど、本気で対戦したいと言ってるワケないのはわかるじゃないですか。っていう。
賢く棲み分けましょう
冷静に考えてみましょう? ガンダムブレイカーって敵として登場した機体からパーツを奪って自分の機体を作るゲームなんですよ。戦車とか戦闘機のプラモを買ってきて、ガンプラにくっつけるために削ったりみたいなことはしません。つまり、ザクアメイジングのパーツが欲しかったら、ザクアメイジングを狩って集めるしかない。それを模型部部長しか持ってなかったら、どうなると思いますか。
周回してボコボコにすることになるんですよ。
例えば、イオリくんの眼の前でレイジくんをボコボコにしてパーツ切り離して持ち帰るストーリーが果たしてビルドファイターズなんですか? っていう話です。
逆もまた然りで、一対一で戦ってゲーム内通貨をためて模型屋にパーツを買いに行って、手に入れたパーツを組み合わせて、また戦いに挑む……そんなサイクルで本当にブレイカーとしての楽しみを味わっていると言えるのでしょうか? というか、あの世界でバトルしようと思ったらガチ対戦にしかなりようがないし、楽しようとするならザコ狩りにするしかありません。駆け引き楽しみたいだけならEXVSでいいでしょう。動きの再現だけならあっちのほうが上だぞ。ゲーセン行け。
逆に言えば「ガチじゃない対戦がしたい」ユーザーが考えていたのは、対戦バランスなんてものは微塵も考えられていない、ありのままガンダムブレイカー性能の機体同士をぶつけ合うおまけモードで、メリットもペナルティもほとんどないので勝敗にこだわるのもバカバカしくなるようなゲームで「こんなん勝てるわけねえだろw」とか「いやあ負ける気がしねえわー」って言いながらバカ騒ぎするようなモードだったんだろうな。と今となっては思ってしまいます。
だから、ガチガチの殲滅戦にならないよう、直接のキルデス以外の部分でポイントを付けるようにしよう。とか、マップにレーンとかを共通させないことで普遍的な戦略が作れないようにしよう。みたいな心遣いは全くの無意味で、むしろ本当にやりたかったエリア殲滅とか雑魚撃滅みたいな部分がなくなったんだから、ウケはしないわなっていう。挙動もなんか控えめになってたのもマイナスポイントですよね。
ですから、そういう意味では操作面とかは変えながらも以前の方向性に回帰を感じられるガンダムブレイカー4っていうタイトルに僕は大いに期待をしており、発売されるのが実に楽しみであることをここに示すものであります。
なお、テストに参加しないのは暇がないからであります。そこんとこよろしく。以上。