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2023年4月18日火曜日

家庭用に移行できるとか思い上がりじゃない?

虚木零児です。
随分前にネタを見かけて、中身見て書こう書こう、いつか仕上げようと思ってグダグダやってたんですが、一生終んないので見切りつけて出します。

エクバシリーズは家庭用に移行するべき

長いので意訳すると「アケはオワコンだから、エクバも家庭用でよろ」ってのを長々書いただけのモンで、根拠は「ストリートファイターと鉄拳がイケたんだからイケるっしょ」でした。

……極東の島国で初週のセールスが調子良かったからって図に乗るにも程があるな?

◆因果が逆転している

まず、鉄拳とストリートファイターが世界レベルのセールスがデカくて、今や日本市場の占める割合は低い。これはマジでしょうね。開発者自ら表明しています。世界ではアーケードゲームなんて業態が流行っていないので、コンシューマが中心になり、現在は鉄拳もストもそちらに軸足を置いている。これは間違いありません。

ただ、この話を今回のEXVSの話に適応するには因果がおかしい。彼らは終わりつつあるアケから逃げ出すためにコンシューマに移行したのではなく、日本のアーケード業界で生まれ、揉まれて、育まれ、洗練されたモノが世界中で人気を博すようになり、現在の地位に着いた訳です。少なくとも彼らが表向きに語るには。実際、ストは4までですけど、鉄拳は7までは日本のアケが先行してましたからね。

彼らはアケ業界から離れたから成功したのではなく、コンシューマのウェイトが重くなってきたから、軸足が外れたんですよ。別にアケから逃れたのではなく、より大きな市場に打って出た。

つまり、彼らの後を追うべきだ! って話をしたいなら、EXVSって世界で大ウケだぜ! っていう話が必要ですよね。海外でもこんなにたくさんの人が遊んでる人がいるんだよ、この国のコミュニティではなんと、こんな機体が有力視されてるんだよ、微笑ましいね、研究し過ぎじゃね? みたいな話があって初めてスト、鉄拳みたいに世界に踏み出しているって言えるんじゃないですか? なぜか売上出てないけど。

言うて、タイの人と国際交流マッチやってましたから、海外でもある程度のプレイヤーはいるんだとは思います。ただまあ、鉄拳とストと比較してどう? って言われると、まあ、うーん……パキスタンから超強い奴らが出てきたりしなさそうだもんな。

◆理論の一貫性がない

基本的に言ってることが場当たり的で通してみるとチグハグなので、端的に言えばバカバカしくなります。

価格設定の時は他店との競争が激しいので、値上げするとお値段据え置きのお店に客を取られて人が来ない! と煽る一方で、オバブへのアップデートはしない判断をする店舗も出るかも……? とか言い出しますからね。オバブに更新しなければ、更新した近隣店に利益を総取りされるのでは? それを恐れなくていいのなら、値上げもなんでもできるだろ。そら、投資をしなければ損失は出ませんが、利益もない。あれ? 進めば〜とかなんとか言ってませんでしたっけ。

都合に合わせて楽観論と悲観論を使い分けてるんで、まあ癇に障るんですよね。ガンダムというIPに触れる人を増やせば、プラモ、書籍などの他メディアに流入して業界の利益になるんだ! って話はいいですけど、なら、初期投資がプレイで100円、ライブモニタなら無料で済むアケのが有利だろって話で。

僕も連ザからガンダムにハマったなぁ! はわかりました。と、俺もX-MENとかスパイダーマンみたいなMARVELのヒーローに初めて出会ったのはCAPCOMのVSシリーズから。なので、コミックやアニメみたいな本筋メディア以外の入り口があることは否定しません。パチスロからエヴァ見る人とか一時期話題になったしな。

ただ、それらのポロロッカはゲームだけで利益あげなくても、足りない分は購入者がグッズ(プラモとか)買うことで穴埋め出来ることの証明にはなんねえだろうよい。

元々のアケゲはゲーセンで試しにコインを入れてみるだけで遊べて、パチスロも常連はコンテンツ知らなくても新台だからで打ってみるって人もいるでしょう。アーケードゲームは従量課金なんでヘビーゲーマーは料金がかさむけど、入り口として触る程度なら安い。パチスロなんかは遊興として人口が多いし、新台で話題になれば流量が期待できる。

いきなり家庭用出して、そこそこ値の張るゲームを、数あるライバルソフトを差し置いて買わせる為の導線って何なのさ?

日本の家庭用の売れ行きにしたって、我々はアケで楽しそうなゲームがあるって言うのを知ってんですよ。いわば、ゲーセンが体験会であり、ゲーセンの住民たちが口コミを広めていたとも言える。他にいろんなゲームが出るけど、楽しそうだけど手が出せなかったあのゲームのほうが気になる。ってのはそれなりに意味がある。

それ以外にも、気軽にゲーセンに通えない人たち、参入するのに腕の差があってロクに遊べないからまずは家で練習したい人たち、あるいはお家で落ち着いて遊びたい人たち、とかそういった諸々の需要もありますよ。アケで楽しそうなゲームがあるなって知ってたから、購入への心理的な障壁も少ないですよ。

指を咥えて家庭用移植を待つしかなかった人々同様、海外プレイヤーも(楽しそうなゲームがあるのに日本のアーケードでしか遊べないらしい、羨ましいなぁ)って思ってくれてると言うのなら、まあ、いいですよ。にわかには信じられないけど。そういう人たちは家庭用が出れば喜んでくれるに違いない。やったぜ、俺たちもついに"ガンダム"を遊べるんだ!

なら、まず"マキオン"が売れるでしょ? ね?

鉄拳ぐらいコンスタントに家庭用を出してるゲームなら、今更マキオンか……となる気持ちもわからんでもない。もうすぐエクバ2、あるいはクロブが出るからそっちから始めればいいかって話にもなる。……ウメハラの動画とか見てると、スト6を待ちきれないのでスト5を買いました! 勝てないけど楽しいです! ってマシュマロ飛んでるし、何ならVtuberがちょっと前にスト5を始めてたし、売れない言い訳には弱い気がしないでもないけど。

いや、出ないじゃん? EXVSは。

俺らはいいんですよ。その気になればゲーセン行けば最新作が遊べるので。近場にないとはいうものの、流石にパスポートはいらんでしょ。海外の俺たちの中には国境越えなきゃ遊べない奴だっているんですよ。県境がなんぼのもんじゃい。

ある種、飢餓状態と言っても差し支えないぐらい断絶されていながら、しかして、興味あるジャンルの現状最新の家庭用が存在し、その上、次回作の発売されるかもはっきりしてない状況で、家庭用を買い控える理由って何だと思います? 出るかもわからん、EXVS2を、クロブを、あるいはまだ見ぬ最新作を待ってるって? 本当に?

興味ないだけでは?

いや、いいですよ。1万歩ぐらい譲って、海外には熱心がEXVSゲーマーの候補が何千万人もいるとしましょう。彼らは非常に熱心で、日本のXBの最新動向まで追いかけていて、日夜イメージトレーニングに励んでいるとしましょう。なるほど、そいつらなら、マキオンなんて何世代前のゲームだよ! って見向きもしない。そんな可能性、あると思います。

じゃあ、なんで新作で機体を絞ろうって話になるんだよ。

海外勢がアケと同品質のものを望んでる、だから旧式のマキオン移植ではダメ。なのに、アケと並行稼働する制限版を出して、時限解禁で近づけていけば売れる? 「選択肢がこれしかないから買ってくれる」と言うけど、アケに追いつくまで待ちゃいいだろ。別に。マキオンすら買わねえんだからよ、そいつらは。

◆ガンダムの不人気を理解してない

いや、単純にガンダムというIPが世界では弱い。加えて、EXVSもそんなに求心力がないって話だと思いますよ。

実際、ガンダムの弱さはバンナムも認めてるし、記事でも引用してるじゃないですか。世間ではキリスト教的な感覚では人型ロボットは偶像が……とか色々と分析はされてるみたいですけど、理由はどうあれ結論として、海外は我々みたいにガンダム題材だからって釣られたりしてくれない。

そういう意味ではガンエヴォってのは、世界的に人気のあるFPSってジャンルから興味を持ってもらってガンダムというIPを認知させ、入り口になってくれるかも知れなかった存在ですよ。海外のキッズが「このエクシアって奴は何なんだ? ガンダム00ってジャパンのアニメに出てくるのか! ワオ、クール!」ってなりえたかも知れない(FPSでダガー投げて攻撃するキャラが人気出るのかは知らない)。人が少ないってはしゃいでる人がいた気がしますけど、気の所為ですかね。

アーセナルベースの話にしてもそうなんですけど、ある程度、人気と知名度のある日本ですらガンダムにすれば何でも売れるという程、甘い状況ではないわけです。IPにも向き不向きがあるので、ガンダムのガワかぶせてあれば何でも良いわけじゃない。殺人鬼イフ改に追われながら、4機のザクが協力して発電機点けて脱走するゲームやりたいか? って言われても、いや……ってなるもん。少なくとも俺はね。

だから、アーセナルベースにしろ、エヴォリューションにしろ、まずゲームとして人の気を引けなければ人気どころの騒ぎじゃないんですよ。ジムとゲム・カモフ陣営に分かれて、議論と投票で追放していくボードゲームって言われても、ねえ?

日本ですらこのザマなのにお前、IPの人気が怪しい海外で売ろうってんだから、根拠もなしに売れるっしょはありえねえだろって話なんですよね。

◆システムの不人気

IPの不人気ばかり槍玉に挙げましたが、2on2の3Dハイスピードバトルならガワが何であれ受ける。なんて、こともありません。記事中にも出てくる、ガンダムVSシリーズのエッセンスを色濃く受け継いだライズオブインカーネイト(RoI)は一年持ちませんでした。

俺はプレイしたいと思ってる内にサ終されちまったクチなので、ゲーム内容とプレイフィールについてとやかくは言えないんですけど、海外展開を重視して、日本を後回しにしてまで展開した挙げ句ですから、まあ純粋にウケなかったんでしょうね。あれはRoIというゲームの問題であって、ガンダムとのこういう違いが足を引っ張ったからダメだったんだよ……! 2on2のゲーム全てが否定されたわけじゃないんだよ……! まで言えて初めてVSシリーズは受け入れられる可能性あります! という話じゃあないですかね。初週の売上だけならマキオンと大差ない、まあ、そこそこ売れたガンダムバーサスと比較するよりも前に。

別に当時のプレイヤーが残したWikiを見ててもいろんなものが見えてくるんですよ。例えばキャラクタープールが狭すぎて選択肢がなかった。範囲攻撃が多くてゲームが大味だった。ガンダムみたいな扱いやすいメインがなくて、行動が重い。あるいは操作感が悪い、ゲームのバランスが悪くて……。このあたりならRoI固有の問題でしょうから、RoIがコケたからってエクバまでコケるのが確約されたとはいかない。

これが、コスト(ストック)という制度が理解されずに不評、コスオバが納得してもらえなかった、エイムじゃなくてロックというのがダメ、2on2が、キャラ人気が……あたりになってくると、これはEXVSも同じ轍を踏むのでは? という話になります。

そもそも、ガンダムVSの流れを含み、海外展開も見据えたデザインで派手にすっ転んだってつまり、素直に考えるなら2on2&コスト制というゲームルールにはIPの不人気を覆すほどの迫力はなかったって話じゃないんですかね?

オンリーワンのsoulsシリーズが〜って突然引き合いに出しますけど、14年前に鮮烈なデビューを果たし、多くの人に影響を与え、後の世にはソウルライクと称されるフォロワーを多数生み出したシリーズと、シリーズ誕生から二十年余り類似作品がろくに出ず、ヒットにいたっては皆無で孤軍奮闘してるゲームを同じ土俵で比較しちゃうかね。

いや、ガンダムVSシリーズはプレイヤー四人でリアルタイムに対戦したい以上、通信とか処理とかが複雑なため、最悪メインゲームのソロ部分だけでもライクは名乗れるsoulsライクより開発難度であったり技術であったりは必要かも知れない。だから、インディーズで出ないのは仕方ないとして、メジャーでも出ない、出ても当たらないのは何なんじゃい。

まあ冷静に考えてみれば「よく知らないゲーム性」×「よく知らないキャラクター」のゲームが売れるはずもないですけどね。人は知らないものは買わないんでしょう?

◆日本と海外は違うという話

そうそう、知名度で言えば、鉄拳はネットフリックスがアニメ作ったんですよ。じゃあ、ガンダムはどうですか?

記事の内容を信じるんならバンナムは水星の魔女で浸透を狙っている。まあ、まだ完結はしてないから、海外でも評価は定まっていないことでしょう。これから爆発的な人気になって水星の魔女旋風が巻き起こるかもしれない。希望は捨てるな。

ただあの記事では、それだけじゃ足りない。エクバを出せって言うんですよね。つまり、エクバシリーズがあれば更に知名度は向上、ファンも倍増。最終的にはネットフリックスも土下座して、頼むガンダムNF作らせてくれって言ってくるようになるでしょうね。なんか、最悪、周辺商品にリーチさせられれば、大丈夫みたいな弱腰でしたけど。

考えてみてほしいんですけど、オンリーワンのsoulsシリーズはアニメ版soulsの円盤で売上補おうとしましたか? soulsプラモデルの販促になればいいやって開発されましたか? soulsムックを売るためにゲームを出したんですか? ええおい。

鉄拳も、ストリートファイターもそう。単純にゲームとしての面白さで勝負して、世界でウケて、人気になった。出来はともかく、ストリートファイターは映画になりましたからね。出来はともかく

日本にはガンダムという作品が生まれて、紆余曲折を経て熱心なファンがついて、ガンプラもブームになって、事故なんかも起こしつつ知名度もついて、ゲームの題材として何度となく使われて、玉石混交の作品の中に連邦VSジオンが生まれ、後に対戦ゲームとしてガンダムの既存ファン以外にもリーチしていくVSシリーズの幕を開けた。

もちろん、海外でもガンダムという作品は存在してるし、日本ほどの数がいないまでも熱心なファンもいるでしょう。レディ・プレイヤーワンにも出てたし、全く無名というわけでもないでしょう。しかし、ブームになるほどではないし、ステークホルダーがIPの浸透を図りたい程度には人気がない。ゲームの題材としてもさほど使われていないでしょうな。

こういう2つの全く背景の異なる社会が別々にあって、そこで同じゲームが売り出されたとして、同じ様な売れ方をするはずがないでしょうよ。海外でエクバが微妙にヒットして、ゲームからハマったオタクが流れる先、いわゆるガンプラや円盤、あるいは配信という受け皿は現状どれぐらい充実してんですか? 浸透してないってつまりそういうことでしょ。

小さく始めて大きく育てましょうって嘯くんですけど、その実、言ってることは周辺業界総動員して全員商売で囲い込んで儲けましょうだから、辻褄が合わねえんですよ。IPの浸透を狙うにはまずエクバっしょ! って言うんなら、俺たちエクバがゲームで客の心を掴んで、奴らの心にガンダムを受け入れる土壌を作りますよと啖呵を切れ。そこからだろ。

◆島国の局所的ブームとして死んだりして

とは言え、部分を見れば言っていることは尤もだなって部分も少なくない。日本のアーケード業界なんて小さい小さい。これからの時代はコンシューマで世界を相手にしていかないと! 文字通り桁が違うんだから。それはそう

海外ゲーマーが吹替無しの字幕では遊ばない! ってのもそうなんでしょう。別に英語しかボイスなくても俺は遊ぶけど、このグローバルな世界で戦い抜くには広い視点が必要です。俺がどうだとかじゃない、世界ではどうだって話が重要なんですよ。

とまあ、考えれば考えるほど、狭い日本でしかウケない癖に、海外展開の都合でキャスティングも不自由なガンダムに拘る必要なくない? ってなるんですよね。別にガンダムじゃなきゃ2on2のハイスピードバトルにならないわけじゃないってのは、RoIが教えてくれたじゃないですか。ウケなかったけど。俺たちもガンダムっていう古巣を捨てて、新しい世界に進むときが来たんじゃないですか。いつまでも同じ所に留まってなんかいられない。行こう、新たなステージへ!!

……ってのはともかくとして、アケ業界に未来が見えなくなったら、コンシューマに流れるに違いないと無邪気に信じてしまう我々もどうなんですかね。売上の見込めないオバブにゲーセンが見切りをつけるように、世界でのセールスは振るわないガンダムVSシリーズにバンナムが見切りをつけたとして、なんの不思議があろうか。いや、ない。

ガンダムブレイカーもモバイルになったし、自由度と再現度の高いアクションならガンダム争鋒対決もあるし、無理に据え置きでやらんでもええやろ! 若者にもウケてへんのなら、しゃあないて。がはは。

おしまい。