シンデレラガールズのアニメがAmazon Primeに追加されました。
まだ見たことない人は一度見てほしい。未だにコンテンツとして成長を続けるアイドルマスターシンデレラガールズの世界の一部を味わうのだ。
まあ、一話からじっくり見ていただきたいところではあるんですが、ここは一つ、私めから一押しのエピソードを一つ選びたいと思います。
それはね、第17話 「Where does this road lead to?」でございます。わーぱちぱち。
という訳で、ここから先はネタバレ満載ですので覚悟してお進みください。
話数とサブタイトルだけ言われてもピンとこないって人もいるんじゃないでしょうか。正直、僕もそのクチです。とりあえず、Amazon Primeのページからあらすじを引用しましょう。
いわゆる、みりあママ回ですね。ふひひ。Pはシンデレラプロジェクトの存続・舞踏会の企画成功のためにそれぞれの成長と知名度アップが必要だとアイドルたちと気持ちを一つにしていた。他部署とも協力体勢で企画された新番組「とときら学園」というTVバラエティ番組がスタートすることになり、凸レーションはレギュラーとして出演することに! 一方美城常務によりギャル路線から変更を求められていた美嘉は、自分の部署や後輩の立場を考え路線を変えられても頑張っていた。そんな美嘉はとときら学園で自分の路線と違うことを求められたことに不満を口にする莉嘉とケンカになってしまう。一方みりあももやもやした気持ちを抱えていて……二人を心配するきらりやアイドルたち。このままで番組を成功させることはできるのか……!?
降って湧いた常務の改革に後輩たちのアイドル人生を人質に取られてしまい、泣く泣くギャル路線を手放さざるを得なくなった城ヶ崎美嘉(17)。そんな窮地にありながらも妹の誕生で家族内での立場の変動に感情がざわめく赤城みりあ(11)を元気づけようと街へと連れ出します。姉としての辛さを互いに笑いあい、みりあ(11)に対しても年上の女性として姉のように振る舞おうとする美嘉(17)。しかし、みりあ(11)からの思わぬ問いかけに、彼女自身が蓋をしてきた感情が決壊、思わず涙をこぼしてしまうのでした。そんなカリスマギャル(17)が垣間見せた弱さを、優しく包み込む赤城みりあ(11)の姿。オタクたちがざわりと色めき立ちました。ああ、昨日のことのように思い出せます。本当にオタクって気持ち悪いですね!
まあ、ここで注目すべきは城ヶ崎莉嘉(12)なんですけどね。
17話は美嘉の話であり、みりあの話であり、何よりも莉嘉の話なんですよ。
開始早々、クラスメートの男子たちから「ガキ」呼ばわりされたことに立腹した莉嘉は、テレビ出演において自分が「大人でセクシーなカリスマギャル」であることを証明しようと意気込みます。が、実際に待ち受けていたのは莉嘉よりも小さなキッズアイドルに混じってのスモック姿という……セクシー要素もギャル要素もなく、到底大人とは思えない姿にすっかり意気消沈してしまうのも無理はありません。
リハーサルではいつもの調子を出すことができず、NGを連発してしまい、スタッフからは心配されてしまう始末。それでも、美城の改革に対する反発の旗頭を務めるプロデューサーの負担にはなるまいとバッチリだったよと嘘を付きます。
アニメの莉嘉はよく嘘をつく子です。初めてのメイン回でも靴擦れを起こしているのを隠して強がっていました。子供っぽくて甘えたがりな一面を見せつつも、自分でできることは自分の力で成し遂げようとする意思の強さも持ち合わせています。
そんな意志の強さもくじいてしまったのが園児姿です。学園というタイトルに合わせて統一感を出そうという意見はいいですが、なぜそこで園児服を選んでしまうのか。常務を挑発する意図があったとしか思えません。
シンデレラプロジェクトの今後のためにワガママを言える立場ではないことは理解しているものの、さりとて自分が望まない仕事に不満を覚えてしまう莉嘉。渦巻く感情を持て余した彼女は頼れる姉に相談をするのですが……美嘉の置かれている状況は莉嘉以上に余談を許さない緊迫した状況でした。
常務の改革に逆らえない立場上、考えようによってはシンデレラプロジェクト以上の圧力にさらされているのが美嘉を始めとした別プロジェクト。美城のブランドを重んじ、相応しくないアイドルの排斥も口にする常務のプレッシャーに怯えるプロデューサー。そこに神谷奈緒、北条加蓮の二人は進められていたCDデビューが白紙になったという事実が加われば、いかなカリスマギャルとて路線を離れてでも生き残りを模索せざるを得ません。
自分のため、愛すべき後輩のため、歯を食いしばって改革に従う美嘉にとって、やりたくない仕事に不平不満を述べる莉嘉の態度は見過ごせないものでした。壮絶な八つ当たりを浴びせた挙げ句、冷たく突き放してしまいます。いうて美嘉も17歳の女の子な訳で、思わず感情的になるのも、むべなるかなと言ったところではあります。でも、こいつ、こんな啖呵切った後、11歳に泣きながらしがみつくんだぜ? 扱いの酷さに涙出そう。
いつも頼もしい背中を見せてくれていた姉の憔悴しきった姿、莉嘉は自らの足で歩きながら考えを巡らせ始めます。「気を使われてる?」っていうあまりに明け透けな問いかけと、それを聞いて諭すように語りかけるきらり。心中を吐露しつつもプロデューサーに負担はかけられないと突っ張る莉嘉に、見かねた杏も助け舟を出します。
どんなに着飾っても自分は変えられないと言い切る杏に対し、自分を飾ることの意義を語るきらり。二人の問答を聞いていた莉嘉はやがてひとつの結論にたどり着きます。
大好きなお姉ちゃんに自分のワガママで傷つけてしまったことを詫びつつも、自分の決意を見守ってほしいとお願いする莉嘉。光指す橋の上を自転車で駆け抜ける莉嘉の表情が、この話のクライマックスと言っても過言ではないでしょう。
その後、園児服というオーダーをこなしつつも、自分が望むギャル、おしゃれを追求する莉嘉の姿に、美嘉もまた自分としてのあり方を思い出します。常務の圧力を押しのけるような、力強いカリスマギャルの姿はカメラマンの心を捉え、ついには大人びた魅力とかねてから持ち合わせていた快活さを兼ね備えた広告が誕生します。
そんな姉の姿を誇らしげに見上げる莉嘉に対し、美嘉は莉嘉の姉であることを喜ばしげに宣言し、お互いを認め合いながら今回のお話は終了です。
愛すべき小さな家族、妹と出会い、同じ姉という立場につく美嘉との交流を経て、一歩大人になるみりあや、過酷な環境に翻弄されてボロボロになりながらも、アイドルとして一皮剥ける美嘉も悪くはないんですが、敬愛する先達に突き放されながらも決して腐ることなく、自分自身の足で真っ直ぐと歩いていく莉嘉と比べると、尊みが足りないとでも申しますか。確かに11歳に抱きしめられる17歳のJKっていうのはショッキングな絵面ではあるんですが、やっぱりこの回の顔は決意の表情で自転車を進める城ヶ崎莉嘉だろという思いがあるんですよね。
まあ、実際は意気込むみりあがAmazon Primeでのアイキャッチなんですけど。