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2026年4月3日金曜日

僕がコヴァルスキーじゃなくなった日

虚木零児です。

「Crime Scene Cleaner」をやっていました。

リリースは2024年の8月。触った感じのパワーウォッシュシュミレーターとかにゲームフィールは似る感じです。超常的な力で撒き散らされた得体の知れない汚れに挑むのと違い、殺人現場を綺麗にしていくイメージですね。だいたい一緒だね。

ストーリーはしっかりしていて、依頼主は大体マフィアで現場は滅茶苦茶に血腥くて雰囲気は気が滅入りそうなほどダーク。しかも、主人公には病気の娘がいる為、高額の治療費が必要で、マフィアたちの提示する報酬から逃げられない……と言う。まあ、パワーウォッシュシュミレーターが極端にぬるいだけという説はあります。

リリース時点のAct1で一端は決着がついていたのですが、追加でナイトメア、全く違う毛色の組織からの依頼をこなすCOMMUNITIが追加され、この度、配信されたAct2にてストーリーが更に一歩進んだ形になりました。

今回、Act2クリアまで遊んでお話にも強めの区切りがついたので色々思いの丈を書き記しておこうと思います。

▲パーフェクトまではやりました

事件の痕跡を残さず洗い流せ

そもそもの発端は知人の息子からのヘルプの連絡。トラブルに巻き込まれたらしきタイラーに呼び出されアパートに到着したらゲームスタート。電話してみるとタイラーはすでに逃げた後で始末を頼まれます。始末ってなんだよ……。

人が住むにはあまりに向かないアパートを探索しながら指定された部屋に上がると……なんか血が見えるんだが……?

▲癖で裏から侵入するクソ掃除人

というわけで金のトラブルで揉めたタイラーがヤクの売人を殺してしまったのでそれの後片付けをすることになります。繰り返しますがタイラーはすでに脱走済み。しかも、万が一にお警察に嗅ぎつけられたら芋づるでコヴァルスキーも捕まるのはほぼ確実。娘の治療費を稼がなければならないこちらに選択の余地はありません。クソが!

とは言え、時間制限はないので有情なゲームではあります。

▲実際に現場がここまで汚れるかは諸説ありそう

ゲームとしてはモップやスポンジを駆使して血を綺麗に落とすのが大きな仕事。それ以外にも散乱したゴミは拾い集め、壊れた家具なんかも砕いてゴミに。また、犯罪の証拠なども回収してクライアントに繋がる情報を隠匿しましょう。

▲被害者の携帯。タイラーとのやり取りがあるので回収

死体なんかが残っていると怪しまれるので、しっかり回収します。屋外マップではトラックに、屋内マップではチェスト(?)に詰めておきましょう。もう死んでるので投げても転がしても大丈夫。ゲーム的なお約束があって、汚れが広がったりもしないので慣れてくるとベランダからトラックめがけて投げ落とすようになります。死んでるやつに遠慮はいらないんだ。だいたいギャングとかだし……。

▲ヤクの売人でマフィアの一員にして今回の被害者
▲乗ってきたトラックに……
▲積み込んで運び出す

後は汚れを落としてゴミを回収して荒れていた家具を戻せばあら不思議。見違えるようにきれいな部屋が! ここで犯罪が行われていたなんて誰も信じられませんね。

▲あんなに血みどろだった部屋も匠の手にかかれば!
▲ま、サイコパスが屋根裏で芸術()やってるけど

基本的にはこれの繰り返し。

ちなみに、途中血液が紫に光ったりしているのはUVランプ? で血液を目立たせているから。通常モードではクリーナーセンスで確認できるのですが、真の清掃人はセンスに頼らないもの……要は使えないモードが有るので、使わない方法を身につけているワケですな。

固い面はモップで、柔らかい表面はスポンジで……と言った使い分けはあるものの、せいぜい向き不向きぐらいのレベル。別にやろうと思えば全部スポンジで丁寧に洗い落とすことも不可能ではない。ハズ。やったことないけど。

ステージクリアでスキルポイントを溜めていくと高圧洗浄機が追加されたり、モップやスポンジの持ち込み数が増えたりとコヴァルスキーの清掃人具合が上がっていきます。直前のスクショにある赤い帯はオゾネーターの効果。しつこい血液汚れもこいつがあれば簡単に落とせちまうんだ! 仕組みはようわからん。

▲なぜか日本風萌ボイスがある。SENPAI、OHAYO!

ゲームの特徴としては道具の汚染と水源が重要となります。モップやスポンジは洗っていると血液を吸って汚れていき、限界を超えると血を伸ばして汚染を広げてしまうので、定期的に洗い流さなければいけません。モップを綺麗にするにはバケツを使い、バケツに水を汲むのに水源が必要です。バケツも使っていれば汚れていくので赤く染まったら水源で汲み直し。ちなみに汚水を途中でぶちまけたら当然周りが汚れます。理想はモップを使いたい近くにバケツを持ってきたいのですが、水を運んでいる途中にぶちまけるし、バケツの置き場所を忘れて蹴躓くしで、途中から面倒くさくなって邪魔にならない水源の近くにバケツを置いていました。それなりに往復しているけど私は元気です。まあ、ゲームを進めると持ち運べるモップも増えるしな……。

▲水源の把握と水の確保が清掃人の第一歩

パワーウォッシュも同じく水源で補充が必要。PWSでは無限水量で持ち運び可能だったのに、コヴァルスキーが使っているのは据え置き型です(背負えるようにはなりますが)。モップやスポンジと違って汚れを吸わないので先に洗い流して血液量を減らしたほうが楽にはなるのでうまく使いたいところ。

モップやスポンジも洗う材質に向き、不向きがある以外にも、オブジェクトへの干渉の有無があるのも注意。モップを雑に振り回したり、高圧洗浄機を吹き付けるとコップや瓶、壺などを割ってしまうことがあるので、入り組んだ場所だとスポンジを使うのが無難。なお、割れたらそれはゴミです。また、ステージによっては壁の向こう側にモップの判定が突き出して、向こうのオブジェクトを破壊したり、家具がズレたりするのでスポンジが便利ですね。

血液や汚れについては力が入ってて、ズカズカと踏み荒らすと自分の足跡が広がってしまうのも気をつけましょう。どんな道具を使って、どこから手を付けるか。死体やゴミの運搬ルートなど工夫のし甲斐のあるゲームではあります。とは言え、Steamのレビューにもある通り、比較的のんびりできるゲームでもあるので、血みどろの殺人現場ということに目を瞑ればパワーウォッシュシュミレーターのような楽しみ方もできる……のかも知れません。

他にもカセット、レコード、CDといった収集要素やシークレットと呼ばれる探索要素などもバランスよく配置されており、個人的にはオススメの一本となっております。マルチはないので代替品にはならないのですがそれはそれ。

ゲームって難しいよな

とまあ、ベタ褒めしてきたんですが、ちょっと構造的な限界と言うか、物語の都合について思う所はありました。ここからはネタバレ込みで書いていきます。

前述の通り、Act1に当たるパートではマフィアのボス、ビッグ・ジムの命令であちこちに飛ばされる訳ですが、当初は「出来るのか?」と腕試し的な扱いだったのが、次第に信頼を得て大きな仕事を任されるようになっていきます。最初はナイフだった凶器がピストルになり、サブマシンガンになりで「気前よく撃ちまくるな。薬莢を始末するのは俺なんだ」などと思いはしますが、組織がどんどん大きな事件を起こし、信頼ゆえにそれを任される……といった形でゲームのレベルデザインとストーリーが合致してるんですよね。まあ、なんでミュージアムでデスゲーム開催してんだ……? みたいなのはありますが。

最後はマフィアの資金源である倉庫・工場で企まれていたクーデターを鎮圧したから、それの証拠隠滅をよろしくと任されて終了。そろそろ限界とばかりに警察には身代わりを差し出しつつ隠遁するビッグ・ジムから「お前も上手くやれよ」みたいに声をもらいつつ縁が切れ、なんだかんだで娘の治療も片が付き(まあ、なんとか上手く付き合えたし、うまく乗り切れたな……)みたいな終わり。途中、ヤク漬けから立ち直ろうとしてたタイラーがボスから始末されたりしてますから、結構、危うい感じでいいですよね。一歩間違えれば俺もああなってたかも知れない。

まあ、なのでAct2でも付き合っていくことになるんだろうな……と思っていたんですが、依頼人はビッグ・ジムの娘であるアンバーにバトンタッチとなります。名前自体はAct1にも出てて、キャンプ場で乱痴気騒ぎを起こして後始末を頼んできました。オーバードーズで死んでるぐらいは序の口で、爆発事故を起こしてるらしいことが判明した時は心底「ふざけんなよ、こいつ」と思ったものです。まあ、ミュージアムでデスゲームよりはマシだったけど……。

ただ、物語としてもレベルとしても続きだった所為でとんでもない人になってるんですよね。我儘で血を見るのを恐れず、人を容易に死に至らしめる凶暴な人物。というのは納得できるものの、最初の依頼で呼び出された店が「二階層の小洒落たバーとフロア違いで二階層のリングアリーナに死屍累々」だったのは半笑いになってしまった。いくらビッグ・ジムの娘だからってこんなデカい店でギャングもどきを全滅は出来すぎだろ。

ストーリーを進めると、コヴァルスキーはアンバーのやり口を「戦争」だの「聖戦」だのといったおどろおどろしい表現をするし、アンバーはビッグ・ジム以上に危険な存在かも知れないと危機感を募らせてはいきます。行動の予測ができないし、スマートさに欠ける割に苛烈さは下手すりゃ父親以上ですからね。掃除屋としては勘弁願いたい。一人娘の存在をアンバーに握られているのも不安要素です。

いやそれ以上に、小さな町の一角ぐらいある議員の家を襲撃して敵味方併せて十数名の死体を出すのは明らかにやりすぎなんよ。こんなのが街に野放しにされてるの明らかにまずい。Act2の最初のマップで「アンバーも来るらしいぜ」って浮かれたやり取りしてた奴が信じられない。いや、どんな美人でもこんな組織を抱えてる奴に呑気なことをよく言えましたな。まあ、死ぬんですけど。

明らかに組織の力がヤバ過ぎる。刀、手裏剣、苦無に薙刀というのが、アンバー軍団の特徴なんですが、それでアサルトライフルを持ち出す素人私兵?を壊滅させており、完全に怪物揃いであります。アンバー側にも犠牲者が少なからず出てるので「ヘマをする未熟さ」がある、というのもわかるんですけど「アサルトライフル相手に刃物で持って突っ込む精神性ってどこから来てんの?」ってなる。アマゾネスじゃん。

もちろん、ゲーム的なお約束なのはわかるんですよ。

Act1のラスト、ビッグ・ジムに近づくために工場に忍び込んでいたのはマフィアの抗争に巻き込まれて命を落としたウェイトレスの父親でした。復讐のために屈辱を耐え、懐にあえて潜り込み、同じく恨みを抱える者たちを集めて力を蓄えていました。あと一歩の所で勘付いたビッグ・ジムに殲滅されてしまったという筋書きでした。だからこそ、互いにしっかり武装していて、薬莢は飛び散りまくるし、工場内の至る所で戦いになっている。それはまあ分かりましたよ。

だから、アンバー軍団が手裏剣や苦無で戦うのも、これまでで言う薬莢みたいにゴミ片付けの難易度を上げたいんだろうなとは思いますよ。柱の裏で「こんな所にまで手裏剣刺すな。莫迦が!」って言うべき所なんでしょう。

……言えないよね。

アサルトライフル相手に手裏剣はあまりに無理がある。いやいや、日本のフィクションの忍者で見たことあるぞ! って話なのかも知れないんですけど、ヤクザのシネマにスーパー忍者は出てこないんだよ。普通は。もし仮に出てきたとしたら主役級の扱いなんだわ。冷静に考えてくれ、この戦闘狂たちははAct1の時どこに居たんだよ。コイツラがクーデターに参加してくれれば成功しただろ……。

頭の何処かで「仕方ない」って気持ちはあります。Act1のラスト然り、その後に配信されたCOMMUNITIの2ミッション――3フロア使ってるゲーム会社でインターンと開発スタッフがトチ狂って虐殺を起こしたり、孤島の秘密実験施設でクローンが反乱を起こしたり――の後にお出しされる現場なんだからパンチが必要なんだという気持ちも若干あるんですよ。でもだからってこれはさ……?

これがビッグ・ジムから組織を引き継いだアンバーが二世らしい向こう見ずで大暴走して、今までにない大惨事を起こしてる……とかならともかく、ビッグ・ジム不在のまま傘下ギャングたちが好き放題してたら、アンバーを中心に蜂起したレディースチームが鉄槌を下す! は(おいおい、話変わったな……)感がすごい。

気さくで皮肉屋なコヴァルスキーおじさんに気持ちは同化できていたのに、現代に生きるゲームが好きな虚木おじさんは引き剥がされてしまいました。バランス調整だろ、これ。

でも、この辺り難しい所ではあるんですよね。例えば、アンバーが薬の売人を襲撃して、その始末をどうしようかと思った際にコヴァルスキーを思い出して……みたいなミッションを作ろうと思えば作れたはず。そこでの成功が彼女らを熱狂に駆り立て、運と勢いで店を壊滅させたり、隠れ家ホテルを殲滅したり、議員のカルト集団を壊滅させたりしていきましたとさ。なら、ギリギリ乗れなくはない……かも知れない。

ただそれって、Act1のステージ1の焼き直しになるんですよね。若干とは言え期間が空いたから再チュートリアルをやらせる……ってなると、現在の用務員としてのコヴァルスキーの生活と評判、エレナの父としてのコヴァルスキーの苦悩と追憶。そして同時に、Act1からAct2までの空白を埋める今のミッションが完璧に思える。じゃあ、それの後にAct1でやるような小規模ミッションは冗長だし、ダレる。

Act1 と Act2 で別れてなければ、また印象が違ったのだろうか? とか、ビッグ・ジムの側に立って、暴れまわる娘の後始末に奔走させられる展開だったほうが気分が違うだろうか? これがゲームじゃなかったら、アンバーたちが巻き起こした地味な事件を描く余地があったのだろうか? などなど、色々妄想が捗り、ゲームを作るのって難しいんだろうなぁ……ということを考えさせられる訳です。

まあでも、残しておいてもストーリーの負債と成りかねないビッグ・ジムの幕引きは親子の情でボスからは大事にされているが、奔放にやりすぎて組織全体からは恨まれているアンバー以外には担えなかっただろうし、構成員たちに暗殺を企まれる程度には恐れられないといけない以上はあれぐらいの大暴れが必要だったのかなぁ……とも思う訳です。かと言って、Act2までを含めて再構築し直しました! も違うし、Act1+2が出来上がるまでリリースしないのもそれはそれで……という話なので、これでよかったんでしょうね。

それはそれとして、DLC待ってます。今後とも宜しく。あと、ミュージアムでデスゲームやったのはマジでどうかと思う。