途中、いろいろあってずいぶん間が開いてしまいましたが、憂世の感想記事の締め括りとして物語部分に触れていきたい思います。
御察しの通り、物語の中核部分に容赦なく触れていきますのでご注意ください。
●物語について
個人的には嫌いな話ではありません。幕末物だと言われると首を左右にブン回す程度には無茶苦茶ですが、幕末の歴史をインスパイアされて書かれた物語なんだ、と考えれば腑に落ちる程度には史実を踏まえています。たぶん。
というか、根底にある「正典」の関係上、教科書に載るような有名所は押さえてある筈です。むしろ、押さえてないと不味いレベル。
大まかな話としては記憶を失った坂本龍馬が勝海舟率いる国家転覆組織の隊長として幕末で暗躍する話です。
詳しい話は主なキーワードである、「道しるべ」と「坂本龍馬」に絡めて話をします。
詳しい話は主なキーワードである、「道しるべ」と「坂本龍馬」に絡めて話をします。
人物像についてはかなりドぎつい色付けされてる人がたくさんいる。西郷どんが弩級のクズだったりするので、人によっては許せなかったりするかも。
個人的には以蔵はいくらなんでも頭弱すぎると思うんですよね。「武市が腹切ったぐらいで死ぬわけねえだろ」ってこいつ何言ってんだって話ですよ
個人的には以蔵はいくらなんでも頭弱すぎると思うんですよね。「武市が腹切ったぐらいで死ぬわけねえだろ」ってこいつ何言ってんだって話ですよ
●世界観について
キーワードに触れる前に世界観について。これがもう相当なんでもあり。フリーダム時代劇モノではお馴染み、からくりとは名ばかりのロボットはもちろん、明らかにバイオ的な強化を受けた人間に加え、死体から作ったサイボーグ(厳密にはフレッシュゴーレムかな?)まで登場。
ここまで来るとビームが出てこないのがむしろ不思議なレベル。
特に切腹した武市半平太の死体から作られた武市HANPEITORさんの「え、なにこれ」感はかなりのもの。
先ほど挙げた「武市が腹切った位で死ぬわけねえだろ」のセリフは誰もが死んだと思っていた武市HANPEITORが現れたことに驚く主人公一行に対して言ってのけた名言。いや、俺に言わせりゃ死んでるからそいつ。
先ほど挙げた「武市が腹切った位で死ぬわけねえだろ」のセリフは誰もが死んだと思っていた武市HANPEITORが現れたことに驚く主人公一行に対して言ってのけた名言。いや、俺に言わせりゃ死んでるからそいつ。
他にも強烈なのは京都を縦横に走る天空回廊の渡月橋と色街をまるまる一つ建物に詰め込んだ島原遊郭という2つの施設。
島原は現代で言うところのモールみたいなものなんですが、明らかに高いし長い渡月橋は現代基準ですらオーバーテクノロジーの産物で相当ヤバい。
島原は現代で言うところのモールみたいなものなんですが、明らかに高いし長い渡月橋は現代基準ですらオーバーテクノロジーの産物で相当ヤバい。
主人公は着替えはおろか整形も性転換も自由自在。服装にしても早い段階で時代考証を無視した現代衣装が使えるようになり、幕末っぽい衣装はそこまで多くない。
多分、大真面目な話しなんかするつもりなかったんでしょうね。幕末っていう割りと人気のあるジャンルにそれでぶっ込むの相当勇気あるなって感じしますが。
●道しるべ
さて、世界観をこき下ろしたところで最初のキーワード。
あくまで正典に記されてる未来に到達することが目的なので、派手に改変して思うままに未来を変えたりみたいな活動はしていません。というより、かなり嫌っています。
途中、暗殺によって命を落としているはずの坂本龍馬が死んでいないことに気づいた道しるべの一人(CV.梁田清之)のおっさんがダダをこねて大泣きするという衝撃的な展開が……。こんな姿見たくなかったし、こんな声は聞きたくなかった……。
道しるべ自体の歴史は古く、物語はスタート時点ですでに存在しています。ただ、表に出てくるのは中盤以降。実は正典を江戸幕府に奪われてしまっており、歴史の再現が思うようにいっていません。正典の代用として使っていた、歌川広重の後世百景を巡って主人公たちと対立するという。
歴史再現の為には手段を選ばず、死ぬる運命の偉人はあるときは洗脳。協力が得られなかったはそっくり入れ換えてしまうなんてこともしていた。
作中では、長州藩の重鎮、高杉晋作と桂小五郎の両名は道しるべのメンバーに入れ替わっており、それゆえか薩長の同盟の瞬間を予言した広重の後世百景に描かれていた桂はまるで別人でした。
また、正典で得られた知識により技術は何世代も上……というか現代日本すら上回っており、高杉晋作が途中で死んでしまうことの無いように死ににくい身体に調整を施したり、切腹した武市の肉体を利用してHANPEITORを作って手駒としたりとやりたい放題。
構成員は名と役割を与えられる「偉人」以外に、名前も記憶も人格も無くされる「名無し」に別れます。
最終的には首魁と正典の双方を失ったことで瓦解し、日本の未来は彼らの手を離れてエンド。
気になる正典の正体はどんなに高く見積もっても中学生位の女子(デコり方から判断)が書いた歴史のノートという糞っぷり。この幼稚な正典のどこにHANPEITORに繋がるような記述があったのか言ってみろ。
それとも、正典の持ち主は夏休みの自由研究に「交通事故で死んだ近所のお兄ちゃんで作ったサイボーグ」みたいなのを提出するような奴とでも言うのだろうか。
それとも、正典の持ち主は夏休みの自由研究に「交通事故で死んだ近所のお兄ちゃんで作ったサイボーグ」みたいなのを提出するような奴とでも言うのだろうか。
正典に従って、未来をあるべき方向に導く道しるべというスタートはいいのだが、最後の最後にオチで滑って台無しにしている感じがする。
●坂本龍馬
いきなりだが、主人公は実は坂本龍馬じゃない。何を言っているのかわからないと思うが、紛れもない事実だ。
その正体はただの名無し。そう、主人公はそもそもが「道しるべ」の構成員なのである。
本物の坂本龍馬はどこに行ったかと言うと……海援隊顧問、勝海舟その人だ。そもそも、この世界には勝海舟にあたる人間はいなかったらしく、簡単に成り代わることができたという。
坂本龍馬は自身が勝海舟となり、結果できた「坂本龍馬」の空席に名無しの男(性別は自由)を押し込めたのである。
なぜこんなにまどろっこしいことをしたのかと言うと、坂本龍馬に未来を見通す瞳の力が宿っていたことに端を発する。
龍馬は幼少の頃から自身が暗殺される未来を見通しながら生きてきた。その未来を避ける為、道しるべに取り入った龍馬は自身を勝海舟とし、その一方で歴史の再現を行うために代わりの坂本龍馬を立てた。というわけだ。
その事を理解した上で序盤の話を見ると結構面白いものが見えてくる。
京都に渡る直前、勝海舟は「坂本龍馬の名前を出さずに偽名を使え」と指示する。その後、主人公が接触したのは土佐勤王党の武市。実は彼と龍馬はお互いをアギ、アザと呼び会う旧知の仲。名無しの男が「坂本龍馬」なんて名乗ろうものなら一発で怪しまれてしまう。だから、偽名。
京都に渡る直前、勝海舟は「坂本龍馬の名前を出さずに偽名を使え」と指示する。その後、主人公が接触したのは土佐勤王党の武市。実は彼と龍馬はお互いをアギ、アザと呼び会う旧知の仲。名無しの男が「坂本龍馬」なんて名乗ろうものなら一発で怪しまれてしまう。だから、偽名。
その後、薩摩と長州の同盟に動く際は「坂本龍馬」として動かしている。何せ薩長の同盟に大きく尽力するのは坂本龍馬の役割だからだ。
高杉晋作の反応も考えてみると意味深だ。彼は主人公を龍馬ではなく、龍さんと呼ぶ。道しるべの構成員である彼は坂本龍馬の成り代わりについて知っている。彼は主人公に親しみを込めて「龍さん」と呼んでいるようなことを言ったが、なんのことはないただの区別だったのだ。
ここいらはだいぶ気持ちよくはまるので実に面白い。
●お龍
さらに突然だが、謎めいた美女のお龍は存在しない。何を言っているのかわからないと思うが、俺も何を言っているのかわからない。
いや、存在はする。ただ、お龍という女はどこにもいない。お龍は主人公の中に眠るもう一つの人格だからだ。
確かにお龍を交えた三人が同時に会話するシーンは存外に少ない。
霊体のようなお龍に導かれるシーンも度々出てきた。
お龍が外を見張っていた筈なのにあっさり役人が押し入ってきたり、火から逃れろと追い立て、建物から飛び出させた割には彼女は続いてこなかったりと不思議なシーンもあった。
お龍が持っている未来を見通す能力が主人公にも備わっていることを示唆するような占い師もいた。
霊体のようなお龍に導かれるシーンも度々出てきた。
お龍が外を見張っていた筈なのにあっさり役人が押し入ってきたり、火から逃れろと追い立て、建物から飛び出させた割には彼女は続いてこなかったりと不思議なシーンもあった。
お龍が持っている未来を見通す能力が主人公にも備わっていることを示唆するような占い師もいた。
これらは確かにお龍と主人公が同一人物だと考えると辻褄があう。見張れるはずがないし、飛び出す必要もない。
すると俄然気になってくるのが、もう一つの憂世、憂世ノ浪士だ。あのゲームは序盤にてお龍が殺害されていた。あのお龍は一体……?
その正体は君の目で確かめてみてくれ!
(ヤル気なし)
(ヤル気なし)
●まとめ
とまあ、思いつくまま好き放題に書きなぐってきたが、物語としてはケチはつけようと思えばいくらでも付けられるが、面白くないとまでは言わないといった所。
100点満点はやれないが、70点80点ぐらいはあってもいいかなと個人的には思える出来だった。